第3話 ごタイ面式試合ダイジェスト 第70試合目 「狂気‼︎女と女のチェーンロープ“ランジェリー”デスマッチ‼︎」
「第69試合目は玄歌話生の我流右ストレートがモロに決まり、テンカウントノックダウンで幕を閉じました。どちらもお疲れ様でした」
「続いては女子対女子、壮烈な死闘が予想されます。では生徒を紹介します。玄歌話学園、一年三組出席番号十二番、千葉県出身、房総半島総
「応ッッ‼︎、白香春の嬢様ちゃんの長っ鼻をへし折ってやるよ‼︎」
「白香春女学院、一年三組出席番号十二番、神戸の少女王‼︎光橋コーポレーション会長令嬢『光橋香織子』ォォォォッッ‼︎」
「よろしくてよ、3回のビンタで許しますわぁ」
両者共に熱い煽り文句を交わす。リングに勇んで乗り込んでいく。
リング上で互いに相手を観察し合うと、雨宮はおもむろに自分の足首までスカート丈のあるロングスカートの腰に手を当て、スカートを脱ぎ出した。
「‼︎‼︎、なにを⁉︎ハレンチですわ⁉︎」
「いや、アタシはあんたのオーラの強さに負けてね。こんなスカート履いてたらアンタとのマジステゴロができないと思ってねぇ。言うならば“敬意”って奴さ」
「あら、そうですの?……ならば私も敬意には敬意で返さなくてはね」
香織子はそう言い出すと自らのスカートを握り、セーラーワンピースの制服を脱ぎ捨てる。ワンピースの制服の下はブラウスと下着姿であり、香織子はブラウスすら脱ぎ捨て上下の下着姿になった。
「私もスカートを脱ぐべきと思ったのですけど、白香春の制服はワンピースですの。だから“ひとつなぎ”に脱ぎ捨てましたわ」
「そうかい、……アンタだけ素っ裸てのは恥ずかしいね」
雨宮がそういうと、雨宮もセーラー服の上着を脱ぎ出す。雨宮もピンク色の下着姿を晒す。
「へへ、これでお互い様の裸だね。ねぇ、せっかくだから服を結び合わせて“チェーンロープ.デスマッチ”やらないかい?お互いにロープで体を結んで互いに逃げられない勝負なんだけどね」
「……いいですわ。あなたの公正さに称賛します。こうなれば正々堂々と“公正”な勝負にしましょう」
「こちらは実況席兼進行です。お二人とも、チェーンロープマッチをするならこちらでチェーンを用意しますので服を結び合わすのはやめてください」
リングに銀色の金属チェーンが投げ込まれる。推定3メートル前後の鎖の端を2人はお互いの片手に巻きつける。雨宮は左手に、香織子は右手に巻き付ける。
「良いかい?ルールは他の奴らと同等の何でもありだよ。ただしアタシらはお互いに“チェーン”って武器があるよ。このチェーンをどう使って戦っても良いよ。ただしアタシも好きに使わせてもらうよ。このルールで文句ないかい?」
「問題ありませんわ。フフフ、お互いに狂ってますわね」
「ん?なんでだい?」
「いくらでも自分を有利にできる方法があるのに不利にも有利にもならない手段で闘うあなたを1人の勇士として尊敬しますわ」
「フンッ、褒めたところで手加減しないよッ‼︎」
言葉終わりと同時に雨宮が一気に香織子に駆け出しチョーセンパンチ、いわゆる頭突きを繰り出そうとする。
香織子は突進する闘牛をかわすかの如く、身をかわしさらに足元にたらんでいたチェーンに雨宮を引っ掛けることに成功する。
雨宮は盛大に転び、体を大きく打ち付けるほど転倒してしまう。しかし香織子は雨宮が立ち上がるまで何もしなかった…………。
結論から言えば、激しいビンタの張り合いの末に勝ち残ったのは香織子だった。
雨宮は激しい蹴りや体当たりなども行ったが香織子にかわされ続け、スタミナを猛烈に消耗したところでビンタによる打撃戦に移行、結果として余裕のあった香織子が雨宮からテンカウントノックダウンを奪った。
猛烈なビンタの乱打を食らった雨宮はテンカウント後もリングにぶっ倒れたままだった。香織子が雨宮に近寄り顔を覗き込んで膝立ちで座る。
「なんだい?このケンカはアタシの完敗だよ。トドメでも刺すきかい?」
「いいえ、あなた、自力で立てますの?」
「……無理だね、手を貸してくれるのか?」
「ええ、手をとって。私と本気でケンカした“友ダチ”さん」
香織子が差し出した手を雨宮はしっかりと握り立ち上がる。中庭にいた新入生達は新たな友情の誕生に皆傍立ち、スタンディングオベーションで拍手喝采を送る。
「なんか恥ずかしいね、アタシ、ケンカのマブダチはオトコもオンナもいっぱい作ってきたけど、ダチ作ってしゅく、しゅく、えーと……」
「祝福ですか?……良い物ですわね」
「それだよ。こんな最高に爽やかな気持ちは初めてだよ」
「ねぇ、雨宮さん。今度ダンスをしませんか?社交ダンスをあなたと踊りたいですわ」
「うん、いいよ。しゃこーダンスってのの踊りかたわわからないけど、ダチの誘いは聞かないとね」
「ええ、踊り方は教えますわ」
誰かが彼女たちの輝かしい友情を見て自然と口から「ハレルヤ」と言い出す。すると誰かがハレルヤと言い出し、ハレルヤの渦が巻き起こり、中庭ではいつのまにか誰も彼もがハレルヤと叫び、2人を祝福した。
2人の戦いから数試合、雨宮と香織子の2人は互いに話し合っていた。
「そういやなんでチェーンを有効に使わなかったんだい?アタシが引っかかって転んだのはあったけど、なんでアタシが立つまで待っていたんだい?」
「ああ、あれですか?服を結んででのチェーンロープマッチじゃないですか。服の“ロープ”じゃないから使わなかった。それだけですわ」
「ふーん……」
その後2人は連絡先を交換し、名実ともにお互いに友人となった。社交ダンスの伝授を始め、お互いの文化を教え合ううちに2人の友情はさらに深まったとかなんとか…………。
ワルは萬年!!女子は爛漫!! (プロト版) 257Bi @DUQSI
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