母の日 デート お昼ご飯②
■■■■■
「ん-。ドーナツの甘い香り。苺のフレンチクルーラーと、ハニーチュロス買ってきたー」
「はい。これは凌平の分。抹茶味のポンデリング」
私はトレーの上に別袋に包まれている袋を凌平の前に差し出した。
「抹茶好きでしょ?」
期間限定メニューなんだって。
「それに、デザートなら甘いものOKでしょ?」
「どーぞ。凌平。」
一瞬驚いた顔をしていたけれど、凌平は、ありがとうと呟く。
「どういたしまして」
私は買ってきたドーナツの袋をカサカサとしていると、凌平がたこ焼きを1つ私の口元に持ってきた。
ん。食え。と顔が言っている。
「え?本当?!たこ焼き一口くれるの?」
「わーい。ありがとう」
「あーん」
私が、口を開けて待っているのに凌平は自分で食えと言ってくる。
「えー。いいじゃん。口に入れてよ」
「あーん」
凌平は観念したようにたこ焼きを食べさせてくれた。
「あむ。」
口いっぱい頬張る。
磯の香りとソースの香りが鼻を通り抜ける。
「ん~」
出来たては少し熱かった。
けど、外がカリカリ、中とろ~り。
「はふはふ。美味しい~」
「たこ焼き久しぶりに食べた~」
「凌平。ありがとう~」
「そういえば、お好み焼きって関西風と広島風があるじよね?」
「具材を全部混ぜて焼く派と、丁寧に層を作り上げていく感じのやつ。たこ焼きでもそんな違いあるのかな?」
「焼き方の違いみたいな?」
「あー。確かに。なんか、ありそうかも」
「凌平は関西風と広島風、お好み焼きだったらどっちが好き?」
「どっちも美味しい?えー。どっちか決めて欲しかったのに。まぁ。両方美味しいけどさー」
「んー。私はね、関西風かな?なんとなく?全部混ざってるほうが味が均等で美味しいきがする。それに、大雑把なとことかも気兼ねなく食べていいよって言われてるみたいでさ」
「たこ焼きって言えば、似た感じのやつで明石焼き?そういうのもあるよね」
「濃いソースで食べるんじゃなくて、ダシ醤油みたいなのにつけるの」
「明石焼きって、知ってはいるけど、食べた事ないなぁ」
「美味しいのかな?」
「へぇー。中、トロトロで玉子焼きみたいな感じなんだ」
「いいなぁ。私も一回食べてみたい」
「そうだ!今度の夏休み、一緒に明石焼き食べに兵庫県行こうよ!高2の夏は遊ばなきゃ!来年はきっと、受験でひーひー言ってると思うし。思い出作るなら今のうちだよ」
「やったー」
「夏休みの楽しみが一個増えたよ」
「楽しみだなぁ」
「だから、今年の夏は、夏風邪拗らせないようにしてよ?」
「毎年、夏風邪引くのはもう、防ぎようないかもだけど、毎回無理して強制入院とか絶対安静とかになるんだから。それだけは、絶対にダメ」
「夏の楽しいイベントが流れるの嫌だし。凌平が苦しんでいる姿、もう見たくない」
「うん。だから、体調管理とか怪我とか気を付けて」
「ただでさえ、凌平はついていない体質なんだから」
「う?けなしてなんかないよ」
「心から、心配してるんだし!」
「そう。だから、この夏はいっぱい思い出作ろうね」
■■■■■
夏休みの約束をした。
もう風邪を引くのはこりごりだ。
この夏までに免疫力を上げる努力をしよう。
交通事故に合わないように、横断歩道では周囲の安全確認を怠らないようにしよう。
そう、固く決意して、彼女がくれたドーナツを齧った。
ほろ苦い抹茶味が口の中に転がった。
【Gsこえけん音声化】超絶美少女幼馴染と不運体質の男の日常~あのね。まだ、好きって言えてないんだ。内緒だよ?~ 月島日向 @038408891160
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます