母の日 デート お昼ご飯

俺たちは母の日のプレゼントを買いに来た。

そして、今は昼時。フードコートでお昼にしようと、空席を見つけ、一休みしているのである。

■■■■■

「よかった。ちょうど、ご飯のピークは終わったみたいだね。どのお店もそんなに人が並んでないや」

私達は、ショッピングセンターのフードコートで空席を見つけ、腰を下ろした。

この席、フードコートのすべてのお店が一望できる。

「去年来たときになかったお店もちらほらあるね」

「ラーメン、ハンバーガー、石窯炒飯、ピザ、クレープ、ドーナツ、パスタ…色んなお店があるよ?」

「凌平は何食べる?」

私はフードコートを見渡して隣の凌平に尋ねた。

「辛い系?しょっぱい系?それとも、甘い系?」


そう聞いたら、凌平の口から『げっ』っという声が漏れた。

「むぅ。何その顔。甘いものはデザートだろ?って言いたいんでしょ?」

「知らないの?甘いものも昼ごはんになるよ?」

凌平が『昼飯に甘い物はあり得ない』と顔をゆがましている。


うーん。

そんなに嫌かなぁ?

白米と牛乳を一緒に食べるとかなら嫌なのは分かるけど...。

スイーツをお昼に出来るんだよ?

これ以上凄い事無いでしょ!


それに...。

「凌平、甘いもの苦手じゃなかったよね?普通に好きでしょ?」

昔はよく、一緒に3時のおやつにミルクレープとか作って食べてたもんね。

そうそう!

生クリームの上からメープルシロップ滝盛りでさ!!

懐かしいなぁ~。



■■■■■


「それとこれは別?好きだけどお昼ご飯は甘いのは嫌なのかぁ」

「朝にホットケーキとか食べるときあるでしょ?それと一緒だけどなぁ」


「その顔、いまいちピンと来てないでしょ。ふっふっふ。凌平は全然、スイーツの凄さが分かってませんね」

「甘いものは、奥が深いのです。糖分は疲れた体を癒す作用があるんです!それに、デザートとして楽しむことができたり、時にはご飯の仲間にもなり得たりするのです!パンケーキ、パフェ、ショートケーキ、アップルパイ。甘いものって一概に言っても色々あるんです!!」

えっへん。

私はこの時ばかりは!と凌平の前でうんと鼻を伸ばして見せた。

「うーんと、そんな話してたらお昼は甘いもの系攻めたくなってきたなぁ」

私は甘い思考に吸い寄せられるかのように、甘い物を売っている店を練り歩く。

「決めた!私はあそこのドーナツにする」

私は『ハニードーナツ』と書かれた看板を指さした。

「凌平は?」

ずっと後ろをついて歩いてたけど、なに食べるか決まった?

私が聞くと、凌平があの店を指さした。

「たこ焼き?」

コクリと頷く。

「いいね。美味しそう」

たこ焼き、外がカリカリで中がふわふわで、タコがむきゅむきゅで美味しいよねぇ~。


「じゃ、手分けしてお昼ご飯買ってこよ!それで、またここに戻ってこよう!」

うぅ~ん。

ドーナツ、楽しみだなぁー。

種類沢山あるし、どれにしよう...。

私はウキウキの足取りでドーナツ屋へ足を向けた。


ドーナツも良いけど、久しぶりにホットケーキも食べたくなってきたなぁ。

そんな事を思いながら。




■■■■■

真朝の昔の記憶

(昔話。あれは、私達が小学2年生の時。

3年生から始まる家庭科の授業の前段階みたいな授業があって、生活科って言うんだけど、そこで私達、初めて家庭科の真似事の授業があって、そこで私達、『ホットケーキ』の作り方を教わったんだ。

ホットプレートを使って焼く、今ではなんともない作業だったんだけど、自分達が料理してる!すごい!ってなった。



それから、私は『ホットケーキ』を極めるとか言い始めて、学校終わりとか休日とかにホットケーキを作っては、家族に食べてもらって感想を聞くのが日課になっていた。

最初の一週間とかは、家族も私が作ったホットケーキを喜んで頬張ってくれたんだけど...度が過ぎるとね...。

それでも、私、まだ自分のホットケーキを目指しきれてなくて...。

そんな時、凌平が『ぼく、まーさの作ったホットケーキ食べたい』って言ってくれたんだ。

凌平、いつも美味しそうに食べてくれて。

嬉しかったなぁ...。


いつも、お腹痛くなるくらいまで食べてくれて...。ちょっと申し訳ない気持ちにもなったっけ。

ふふふ。

懐かしいな。)



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