第8話 最強の弓


 もう、ジュネスったら、何なのよ。


 私を呼び出して、どこへ連れて行くっていうのよ。


 2人っきりよ。


 えっ! これって、……、こ、く、は、く?


 誰も居ないところへ、私を連れて行くのね。


 やっぱり、エルフだし、美形だし、ジュネスも、男の子だし、お年頃だし、そういう話なら、私も、少しは、興味が、ある、わ。


 うん、私なら、きっと、シュレとも、仲良く、できると、思うわ。


 ジュネスは、シュレと付き合いが、長いのだから、私は、……、2番目でも、構わない。


 うん、そうよ、転移した時に聞いた話だと、エルフは、男性が少ないから、一夫多妻なので、夫の女性達とも仲良くやるようにって、エルフのギルマスに聞いたわ。


 それに、カミューは、珍しい、男性エルフだけど、私と顔立ちが似ているから、きっと、姉弟きょうだいだって言われたものね。


 それに、どう考えても、カミューに恋愛感情は、抱けなかったものね。


 うん。


 31年間、一緒に居たけど、カミューの事は、男として見れなかったわ。


 そうよ、きっと、カミューと、私は、姉弟きょうだいなのよ。


 だから、私は、カミューに、恋愛感情が湧かないのよ。


 ん?


 あれー、これって、今、わ、私、ジュネスに対して、恋愛対象として考えていたわ!


 い、いやー、え、わ、私、ジュネスに、恋してるって、事、な、の、……。


 う、うわー、ど、どう、しよ、う。


 ……。


 えっ! 何? ジュネス、私に、プレゼントをくれるの!


 もう、なんて、か、わ、い、い、の。


 告白するのが、恥ずかしいから、プレゼントなのね❤️


 だめ、ちょっと、ジュネスの顔が、直視できないわ。


 ジュネスったら、私に、何をプレゼントしてくれるのかしら、……。


 ん、何、この硬いものは?


 うん、握った感じも、何だか手に馴染むわ。


 硬くて、手に馴染む、この感覚は、……、弓じゃないの!


 あ、ここって、弓道場じゃないの。


 えっ! って、カミューが居る。


 じゃ、なくて、皆んないるじゃないのよ!


 持たされているのは、……、弓。


 あ、ああ、ジュネスったら、弓の強化を考えたのね。


 うん、そうなのね。


 私は、この弓を試すために呼ばれたのね。


 しかも、カミューは、もう、試したみたいね。


 カミューったら、何だか嬉しそうね。


 あんたの持っているのも、ジュネスが、新たに開発した弓なのだろうけど、……。


 ふーん、そうなの、威力が上がったのね。


 そりゃぁ〜、良かったわね。


 あ〜あ、私は、ジュネスから、呼び出されたから、てっきり、愛の告白かと思ったわよ。


 そうですよ。


 私の勘違いですよ。


 あー、面白くない!


 ……。


 まあ、いいわ。


 とにかく、ジュネスの開発した弓、……。


 何? 弦が3本、……。


 ああ、弓の両端に滑車がついているのか。


 その滑車を利用して、反対に弦を引っ張っているから、弦が3本になってのね。


 ふーん。


 まぁ、何となく、威力は増すような気がするわね。


 その程度で、どれだけの威力が増すというのよ。


 カミューの弓も同じようだけど、ちょっと、威力が増した程度でしょ。


 じゃあ、試してみましょうか。


 えーっと、マトまでの距離を考えると、……。


 あら、いつもの距離より長いわね。


 ジュネスったら、マトの位置、随分、先に設定したのね。


 だったら、狙い目は、マト上端から50cm位、上を狙って撃てばいいかな。


 あとは、1射目の後に微調整を入れて、2射目で、マトの中心を射抜くわ。


 ん? この感触、・・・。


 何よ、すごく強い引きだわ。


 うん、でも、私なら引けなくはない!


 えっ!


 何? どういうこと? マトの上をかする程度に、矢が当たったわ。


 このところ、ジュネスに付き合わされて、トレーニングばかりで、弓は練習してなかったからなの?


 感覚が、鈍ったっていうの?


 まぁ、いいわ。


 1射目の位置が確定したのだから、今度は、もう少し下を狙って、撃てばいいのよ。


 だから、2射目の狙い目は、1射目が当たった辺りを狙うのよ。


 ……。


 あ、マトの中心を射抜いた。


 何? マトの距離は、いつもより遠いのに、何で、アッサリ、マトを射抜けるのよ。


 え、何?


 ジュネスったら、手を叩いて、褒めてくれているわ。


「ま、まあ、わ、私ほどの腕なら、この程度、容易いわよ」


 え、やっぱり、私って、弓の天才なのかしら。


 こんな距離を、2射目で射止めるんだから、ふふ。


「あらー、カミューは、マトの中心を射抜くまで、4射もかかったの」


 ふ、ふ、ふ。


 カミューったら、悔しそうな顔して、私をみてるわ。


 弓も私の方が、上のようね。


 ……。


 え、何?


 綱登りの効果が出た?


 一番強い弓に、滑車をつけた事で、威力も増したけど、誰も使える人が居なかったってぇ?


 ひょっとして、この弓、クラスの誰かに試させたって事?


 ……。


 クラスの誰も、まともに引く事ができなかったの。


 ……。


 女子だけじゃなくて、……、男子も引けなかった、……。


 何? 私は、男子も引くことが出来なかった弓を、引いて、しまった、の。


 えーっ、ってことは、私は、クラスの男子より、腕の力が強くなってしまったってこと?


 う、二の腕。


 せ、せな、か。


 ……。


 あああ、す、すごく、筋肉が、ついて、る。


 今まで、見ないようしてたのにぃー。


 私の、美人で可愛い冒険者生活が、……。


 終わった。

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