若い衝動に突き動かされて、家を飛び出した少年。あてのない行動のはてに出会った女性との、ほんの数日の交流が、少年の心のページを一ページめくることになる。少年として生まれてきた読者ならきっと一度は、居ても立っても居られない、ここじゃないどこかへ行かなければならない、このどうしようもない衝動に突き動かされたことがあるだろう。そんな衝動に身をゆだねることができた者は、幸いだ。今だ、今しかない。この少年は何て幸せな時間を体感したんだろう。読んでいて、自然に顔がほころぶ。夏に読むのにふさわしい一作。
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