北の果てにできた世界を裂くような亀裂の調査するために調査官が派遣される。麓の村では口を閉ざされ、深い森の先にある亀裂に行くには案内がなければいけないという。世界の確執が絡み合い生まれた亀裂は底の見えない深淵としてもたらすものとは――ほの暗さを空気に、美しく瑞々しい世界を背景に話は展開される本格ファンタジー。世界創造の伝承をめくるような心地を味わえること間違いなし。登場人物たちのそこはかと漏れ出る感情と思惑、瞳の中に映る真意を想像してほしい。
ある学術機関の調査報告書から始まる本文。 目的は過去に大惨事の起こった中心、大地に穿たれた”大穴”を調べることにあったが、そこで美貌の旅人は現地の青年と出会い、運命が回りだす。謎めいた問いかけ、青年の秘密。ついに行き着いた深淵の縁から、二人が闇底に臨んだものとは。 理解してからまた楽しめる、ギミックの効いた物語です。後半のカタストロフィ、相反するイメージが美しい。 大きな物語の序章のようであり、実際、世界観を同じくする作品があるようなので、ぜひ読ませて頂こうと思います。
深い森の奥、大きな大地の裂け目。生き物や人に及ぼす影響を調べるために調査官が派遣されます。まずは、形式的な報告書から、この物語は始まります。 迷いの道、閉鎖的な村人、そして《《一人で行くと戻ってこれない》》大穴──。 淡々と進む物語が、背中をひやりとさせながら、それでも、なにがしかの答えを求めて読み進めていくと、これが答えではなく問いかけの始まりだということが分かります。 かの物語を読んだ方なら、ハッとするショートストーリーです。