第14話 六闘志
第14話『六闘志』
一方フェンガルド王国では戦争へ向けて最終確認の為に会議が行われていた。
国を守る6つの軍。「六闘志」その最高戦力である兵長達の会議である。
グレン「いよいよ戦争が始まる…だと言うのにラルダの奴はまだ来ないのか!!」
この男の名はグレン・フレドグラド。炎軍を束ね焔のごとき猛々しさを有する質実剛健な漢の中の漢である。国への忠誠心は厚く、最初にテンマを助けこの世界の生き方を教えた人物でもある。
ミゾレ「あ、あの、えっと戦争…こ、怖いです…あと、グレンさんも怖い…です。」
グレン「俺は怖いのか…」グレンは肩を落とした。
ミゾレ「あ、えっと、その…ごめんなさい…!」
この気弱な青年はミゾレ・ウォルター。最年少ながら水軍の兵長であり弱々しい性格とは裏腹な圧倒的戦闘センスを持つ。兵長の中で一番戦いたくない人をあげた時人は口々にミゾレの名前を出す。
フドウ「あらあらミゾレは本当に可愛いわね。食べちゃいたいくらい。」
この女性はフドウ・クレイズ。地の魔女の異名を持つ土軍の兵長であり彼女は軍の中でも特に謎に包まれている。プライベートは勿論どんな任務に着いているのかも謎である。
ただ、判明しているのは性別と名前。そして辛い物が苦手な事ぐらいである。
アン「………あーめんど。戦争とかだりぃ。まじで誰か止めろって仕事増えんだけど。クソが!」
この男の名はアン・フラッシュベルグ。闇軍の兵長である。見たまんまだが彼はとても面倒くさがりだ。自分の責任になる事を嫌い、全てを他人に任せる事を信条としている。ただ、彼に武器を持たせてはいけない。何故なら瞬きの刹那、戦いはもう終わっているのだから。
リカーナ「アン様そんなことを言ってはいけませんよ。」
アン「うっせぇ。聖女様はお優しいこって」
リカーナ「ふふ、もしかしたらそんなにお優しく無いかもですよ。」
この女性はリカーナ・ハーツ。光軍の兵長であり回復のスペシャリスト。皆口を揃えて彼女を聖女と呼ぶがそれは裏の顔を知らないからである。彼女は回復のスペシャリストであると同時に暗殺のプロフェッショナルなのである。
ラルダ「お待たせ!遅くなったね!」
グレン「ラルダ!遅すぎるぞ!!」
ラルダ「ごめんごめん道端に倒れていたおばあさんを助けていたんだ。」
アン「分かりやすい嘘だな。人嫌いが人助けとかするはずねぇじゃん。」
ラルダ「ちっバレたか!」
この飄々とした男の名前はラルダ・シュトロム。風軍の兵長であり人を信じることをしない男である。ただ、王からの信頼はあり、よくグレンと言い合いをしている。その実力は本物であり軽くクレーターを作るほどの魔力操作を行うことができる。
グレン「よし!これで全員揃ったな。これよりフェンガルド王国六闘会議を始めよう!!」
リカーナ「本日の議題は後の戦争についてです。」
グレン「我が国に対する侵略行為みすみす見逃すことなどできん。」
アン「ケッ!ムカつくぜ」
ミゾレ「で、でも血を見るのは嫌…です」
アン「それを戦闘狂のてめぇが言うんじゃねぇ」
ミゾレ「うぅ…」
フドウ「あらあら泣かないの。お姉さんがよしよししてあげる。」
リカーナ「フドウ様あまり甘やかさないで下さいね」
フドウ「はいはい」
ラルダ「あ、そういえばここに来る途中でゴウカの群れを見たよ」
「ゴウカ」それは異世界から来た化け物。人を喰らい血肉にする、この世を蝕む病そのものである。フェンガルドも例外では無く襲われる村や街が後を絶たない。魔獣とゴウカこの2つは人類が解決しなければならない最重要問題である。
グレン「見逃してきたのか!!」
ラルダ「全滅させてきたよ」
グレン「そうか…ならいい。しかし戦争だと言う時にゴウカなど。」
フドウ「戦争だけで手いっぱいだわ」
グレン「戦争時の物資の補給ルート、回復魔道士の手配、混乱に乗じて起こる紛争の鎮圧。決めなければならない事は山積みだな…。」
コンコンコン扉を叩く音
兵士「報告します!カジャラクタ近辺に放っていた先遣隊が何者かに襲撃されました。こちらが魔道具に残された音声です。」
???「テンマはどこ」
襲われた兵士「し、知らない」
???「へぇ、そうなの」
襲われた兵士の指が1本1本折られていく
???「吐きなさいフェンガルドの兵士!」
襲われた兵士「や、やめてくれ…」
???「教えるまで指を折り続ける」
襲われた兵士「わ、分かった!テンマはカジャラクタに連れていかれた!!」
???「ご苦労さま。助かるわ」
襲われた兵士「ひ、ひぃぃ」
???「テンマ…今逢いに行く」
兵士「この謎の女性はテンマを探しにカジャラクタに向かった様子です。」
グレン「やはりテンマが心配だ…早くカジャラクタとの戦争を終わらせて助けてやるからな。」
フドウ「そのテンマという子は可愛いのかしら?」
ミゾレ「いつもそういう話に持っていきたがりますよね」
フドウ「だって気になるじゃない」
アン「どうだっていい、使えるやつならな」
兵士「あと、報告がもうひとつ…」
グレン「どうした」
兵士「ラルダ様が討伐したゴウカですが全員姿を消しました。」
ラルダ「あれ、倒したはずだけど…」
兵士「ですが現場には痕跡すらなく戦った形跡すら消えていました。」
ラルダ「不思議だね。調査してみるよ」
兵士「はっ!」
グレン「色々問題が起きてしまったようだな。会議は一旦保留とし各自問題を早急に片付けてくれ。」
六闘志達が会議をし問題を解決していく中
カジャラクタで国を奪還する手立てを考えるテンマとラナン、そしてクルート。しかし3人に四導剣の魔の手が迫ろうとしていた。
【セリフ小説】落ちた世界は異世界で @Alinosu_ali
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