第13話 水の精霊
第13話『水の精霊』
テンマ「洗脳の解き方は分かった…あとはカジャラクタに帰ってラナンに報告しに行こう。あれ、王都が騒がしいな…」
テンマがカジャラクタに着く数分前
《カジャラクタ王国 王宮 国王の間》
クロウリー「マゼルマ王、ラナンが裏切りました。」
マゼルマ王「ふはは、そんな事は初めから分かっておったわ。」
キリカ「さすがですわ」
イドラ「命令を」
マゼルマ王「この件に関してお前たちは動くな。
我には駒がいくらでもある。」
クロウリー「民衆を使うのですか?」
マゼルマ王「グモス大臣」
グモス大臣「はい、なんでしょう?」
マゼルマ王「即刻我が駒である民衆の脳を強制的に操作しラナン及びクルートを見つけ次第、磔にし火炙りにしてしまえ。」
グモス大臣「かしこまりました」
キリカ「あらあら」
イドラ「……ふん」
クロウリー「マゼルマ王それはやりすぎじゃ」
マゼルマ王「クロウリーよお前は四導剣の中でもラナンの次に役立たずなのだ。分かるな?」
クロウリー「はい…すみません」
マゼルマ王「では、グモス大臣よ、任せたぞ。」
グモス大臣「はっ!」
マゼルマ王「あと、これを持っていくがいい
水の精霊の力を宿した宝玉だ。これを使うと精霊の力を使役できるぞ?それでお前が死んでも代わりはいくらでもいるがな」
グモス大臣「はい…ありがたき幸せ」
マゼルマ王「では行け」
《カジャラクタ王国 王都 城下町》
そして、今に至る
テンマ「あの光は炎!?嫌な予感がする…!」
テンマは走り出した。
沢山のヤジが聞こえる
民衆「マゼルマ王に反旗を翻したものめ!
我らが王を侮辱する気かぁぁ!」
ゴォォォォォォォ
テンマの目の前に広がるのは火の海そして
その中心にいるのは今にも磔にされそうなラナンとクルートだった…
テンマ「ラナン!!クルート!!」
ラナン「テンマっち!うぐっ」
ラナンとクルートは民衆に掴まれて動けなくなっている。
テンマ「くっ!こんな所で死なせるもんかぁ!」
辛うじてクルートの声が聞こえる。
クルート「テンマさん!この洗脳はグモス大臣の仕業です!あの人は今もどこかで民衆を操っているはずです!」
テンマ「見つけろってことだな!わかった!」
クルート「僕達は民を傷つけることはできません!ですが火炙りにされないように時間は稼ぎます!お願いします!グモス大臣を止めてください!!ぐあああぁ…」
民衆に押しつぶされクルートの声は聞こえなくなった…
テンマ「くっ!どこだ…何処にいるんだ!」
地下、城下町、どこを探しても見当たらなかった
青い妖精「お兄さん、あそこの教会だよ。
あそこから精霊さんの力を感じる。」
テンマ「どうして、ここに」
青い妖精「心配で…」
テンマ「そっか、ありがとう!先に戻ってて!」
青い妖精「うん!必ず勝ってね」
テンマ「当たり前だろ!」
テンマは教会に走り出した。
《カジャラクタ王国 教会》
ギィィィ…テンマは扉を開けた
テンマ「グモス大臣!どこだ!」
グモス大臣「ふふふ、洗脳が解けてしまったようですね。」
テンマ「グモス大臣!街の人の洗脳を解け!」
グモス大臣「嫌ですね!あの二人が愛した国民に殺されるまでは。」
テンマ「なら、力づくで洗脳を解いてもらうぞ!」
テンマはグモス大臣に殴りかかった
グモス大臣「そう、カッカしないで下さい。
1度洗脳されてしまえばどんな相手も私のもの。」
「記憶洗脳魔法:メモリーブレイク」
グモス大臣が放った洗脳の光、だがしかし
異世界人であるテンマにはこの世界の脳に影響する魔法は一切効かないのだ。
グモス大臣「と、止まれぇぇ!!」
テンマ「止まらないよ!」
「土魔法:ロックアッパー!!」
テンマは自らの手を石に変えそのままグモス大臣を殴った。
グモス大臣「ぐふぁっなぜ効かない。私の洗脳は完璧だったはず…まさかラナン!?ああああああラナン!!許さんぞ!」
テンマ「僕に洗脳は効かない」
グモス大臣「もう、これを使うしかないようですね。」
テンマ「なんだその玉は…何をするつもりだ!」
グモス大臣「水の精霊よ我に従え!!」
グモス大臣は水の精霊の力を体に宿した。しかし
彼は適合せず異形の怪物へと姿を変えた。
肌は魚の鱗、肩からはヒレが生え口は大きく裂けた。その姿は紛れもない化け物だった。
テンマ「なんだこの姿は、もう人じゃなくなってる。」
怪人グモス「かかってこい。私は人間の姿は捨てたのだ!殺してやるぞ!」
テンマ「くっ、やるしかないな。行くぞ!」
テンマは剣を持って斬りかかった。しかし
怪人グモスには全く効かなかった。
怪人グモス「すごいぞ!この体は!!今なら王まで殺せそうだ!ふははは。次はこちらから行くぞ」
テンマは怪人グモスの一撃で吹き飛ばされた。
テンマ「ぐああああああぐはっ」
怪人グモス「次の一撃で殺してやるるるる!!」
テンマ「僕には守らなければならないものがあるんだよ…助けなきゃならない命があるんだ…
だから、死ねない!!」
その時テンマの気持ちに呼応したように剣がオレンジ色に光った。
テンマ「今なら行ける気がする…全ての思いを乗せてグモス!お前を倒してみんなを助ける!」
怪人グモス「なんだその剣は…土魔法を纏っているだと!?」
テンマ「この一撃で全てを斬る」
怪人グモス「舐めるなよぉぉぉ!!」
怪人グモスの巨大な腕がテンマに近づいてくる。
テンマ「土魔法:グランドスラッシュ!!」
テンマの一撃は怪人グモスの腕ごと斬り飛ばした。
怪人グモス「ぐあああああああああっ…消える
この体が…いやだ…あああ」
テンマ「グモス大臣お前の負けだ。」
シュュュュ…怪人グモスは跡形もなく消えていった。
テンマ「こんな風にしたのも…全部マゼルマの仕業なんだ…許さないぞ!マゼルマ!」
ウンディーネ「ありがとうございます。あなたのおかげで私の力は解放されました。今約束を果たしましょう。」
「水魔法:セインズシャワー」
街に浄化の雨が降り洗脳された人々は元に戻っていく。
街の人々「なんでここに居るんだ…」
ラナン「ふぅ…なんとかなった」
クルート「やってくれましたかテンマさん」
テンマ「ウンディーネさん。僕はマゼルマ王を倒します。力を貸してください。」
ウンディーネ「元よりそのつもりです。
汝に水の精霊の加護がありますように」
テンマのオーラに水の力が加わった。
テンマ「ありがとうございます。
必ずこの国を変えてみせます!」
ウンディーネ「期待していますよ」
そういうとウンディーネは消えていった。
テンマ「よし!まずはラナン達の所に戻らなきゃな!」
《カジャラクタ王国 地下 レジスタンス本部》
テンマ「ラナン!クルート!」
ラナン「テンマっち、ありがとうね!」
クルート「よくやってくれました!」
テンマ「うん!街の人達は戻ったはずだよ」
クルート「ですがいずれ街の人達は困惑するでしょうその時に王子である僕がどうにかしなければ…」
テンマ「王子?だれが?」
クルート「僕です」
テンマ「え?クルートが?」
クルート「はい」
テンマ「え、えええええええ!!」
クルート「言い忘れてましたね
僕の名前はクルート・カジャラクタ。この国の
元王子です。」
ラナン「そうだよ!クルートは王子なんだよねー!」
テンマ「知らなかったぁ…だから狙われてた訳か…」
クルート「街の人達の対応はこれからして
行きましょう」
ラナン「そだねー!」
テンマ「よし、作戦を考えようこの国を奪還するために!」
ラナン、クルート「おー!!」
会議が進む中フェンガルド王国では戦争の準備が進められていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます