第12話 対話

第12話『対話』

真っ暗闇の部屋でテンマは目を覚ました。

テンマ「うっ…ここはどこだ?」

???「やっと起きたね」

テンマ「君はさっきの女の子…あっ大丈夫?怪我はない?」

???「怪我なんてしてないよ大丈夫!」

テンマ「良かったぁ」

???「聞いてた通り君って本当にお人好しなんだね」

テンマ「聞いてたって誰に?」

???「女神様にだよ」

テンマ「女神様?」

???「あ、君は知らないのか、じゃあ教えてあげるね。君は魔王によって封印された女神様から助けを求められて召喚された異世界人なんだよ」

テンマ「じゃあ、あの時学校から吸い込まれた時に聞いた声って」

???「女神様だね」

テンマ「そうなんだ、じゃあ僕は女神様を助けるのがこの世界の使命なんだね?」

???「そういうことになるね。なのに君はどうしてこうも色々巻き込まれちゃうかな?」

テンマ「それは申し訳ない」

???「まぁ、良いとして1つ助言をしよう」

テンマ「助言?というかさっきから気になってたんだけど少女というより喋り方が少年みたいなのはどうして?」

???「だって本来の僕はこの姿じゃないもん」

テンマ「なるほど…あ、あとここは一体」

???「助言しよ…って質問多すぎだろ!」

テンマ「ごめんなさい」

???「ここは狭間の世界。君のいた世界と異世界の間にある世界だよ。まぁ、ここ以外は何も無いけどね。」

テンマ「理解しました。」

???「では改めて助言をしよう。カジャラクタの自然と対話してみなよ。」

テンマ「それってどういう…」

???「おっともう時間だ」

テンマ「え?」

???「頑張ってね」

テンマの体が浮いて暗闇の世界から出ようとしている。

テンマ「えっ…ちょっと待って!最後にきみの名前教えてよ!!」

???「僕の名前?いいよ教えてあげる」

テンマ「うん!」

???「僕の名前は…ラルダ」

ラルダ「ラルダ・シュトロム」

少女の姿がラルダの姿に変わった

テンマ「ラルダって風の…兵長!?」

ラルダ「じゃあテンマ!また会った時は他人だからさ1つ言わせて欲しい」

テンマ「はい!」

ラルダ「僕は人間が大好きだ!」

テンマ「それが聞けてよかったです!」

ラルダ「ふふっ、じゃあ行ってらっしゃい」

テンマ「はい!頑張ってきます!」

そして、テンマはカジャラクタ王国に飛ばされた

《カジャラクタ王国 サラシュの森》

テンマ「ここは…森か。向こうにカジャラクタ城が見えるってことは結構近いところに飛ばしてくれたんだな。ラルダ兵長…次会った時はなんて話そうかな。それよりまず自然との対話だ…やってみるか!」

テンマ「自然さーん!どうもです!テンマといいます!」

周りには静けさが広がっている

テンマ「はは…ダメだよねぇ。ん?アレはなんだ?」

目線の先にあるのはいかにも毒々しい沼地、それを超えた先に遺跡のような建物がある。

テンマ「あそこに行ってみようかな」

近づくととてもきつい匂いが漂ってくる

テンマ「これ、絶対毒だよな…」

???「あの、、」

テンマ「はい?」

振り返ると小さな青い妖精が居た

テンマ「妖精だぁぁぁ!!」

青い妖精「は、はい…」

テンマ「あ、ごめん。それでどうしたんだい?」

青い妖精「お兄さんこの湖綺麗にできるの?」

テンマ「それは出来ないかも…」

青い妖精「うぅ、うああああ」

テンマ「ごめん、泣かないで」

青い妖精「だって、このままだと水の精霊しゃんが死んじゃうの…」

テンマ「水の精霊さん?」

青い妖精「うん…毒の沼地のせいでこの先の遺跡から出られないの」

テンマ「そうか…よし!分かった僕が何とかしてみるよ!」

青い妖精「本当に!!やったぁ!」

テンマ「少し時間かかるけど良いかな?」

青い妖精「うん!いいよ!待ってる」

テンマ「ありがとうね。とは言ったもののどうしたらいいか。僕が持ってる魔法は土魔法だけだしな…」

青い妖精「どうするのー?」

テンマ「んー…どうしたものか」

ノーム「悩んどるようじゃの」

テンマ「ノームさん!?」

ノーム「そう、驚くこともなかろう。わしの声ををお主の頭に直接送ってるだけじゃよ」

テンマ「そんなこと出来るんですか!」

ノーム「うむ、それでその湖を綺麗にしたいんじゃろ」

テンマ「はい…」

ノーム「なら土魔法でとある魔法があるその名もディバインアース」

テンマ「ディバインアース…」

ノーム「この魔法は土魔法ながら聖魔法並の浄化で大地を癒す魔法じゃ。習得するのに時間が掛かるがお主にコツを教えるからそれで覚えみるがよい」

テンけ「はい!それでコツと言うのは…」

ノーム「自然との対話じゃよ」

テンマ「ラルダさんにも言われました…それ」

ノーム「対話するのにお主は地面で寝たか?」

テンマ「してないですね…」

ノーム「対話するのに動物たちと戯れたか?」

テンマ「してないです…」

ノーム「それじゃあダメじゃな。大事なのは対話の本当の意味を知ることじゃ」

テンマ「分かりました!自分なりの対話を身につけてみます!」

ノーム「うむ!それでは頑張るのじゃぞ」

脳内の会話が終わった

青い妖精「おーい!どうしたのー?」

テンマ「大丈夫だよ。あと、少し自然と対話してもいいかな?」

青い妖精「うん?よく分からないけどいいよ!」

テンマ「試しに地面で寝てみるか…」

青い妖精「どうしたの?汚いよー!」

テンマ「大丈夫だよ少し寝るね」

数分後

テンマ「ふああああ…よく寝たけどこれで使えるようになってるのかな」

テンマ「ディバインアース!!唱えてみたけど無理だよなぁ…よし!次は動物と戯れるぞ!」

青い妖精「動物ならあそこに居るよ!」

目の前にはたくさんの動物たちが遊んでいた。

テンマ「よぉぉし僕も遊ぶぞー!」

と、思った矢先動物のしっぽを踏んでしまい怒らせてしまった。

テンマ「あ、やばい逃げろぉぉぉぉ」

どうにか逃げることが出来た。

テンマ「はぁはぁ無理だよ…どうしたらいいんだ」

青い妖精「お兄さん無理なの…?」

テンマ「いや、無理じゃないよ必ず綺麗にしてみせるから!」

青い妖精「分かったよ」

テンマ「大地との対話…動物との対話…何かが足りないのか…」

???「おいおい先客がいるぜ!」

テンマ「あなたは誰ですか?」

???「俺か?天下も黙る盗賊の長!その名も〜ロイデン・カール!人は俺をロイと呼ぶ!」

テンマ「それでロイさんはこの遺跡に何の用ですか?」

ロイデン「それは遺跡に隠れた宝を手に入れるためだぜ!」

テンマ「でも、遺跡の前は毒の沼地で行けませんよ?」

ロイデン「行けるだろうが!回り道して入ればよぉぉ」

テンマ「ロイさん!危ないですよ!」

ロイデン「おっと、まじか…この沼から広がった毒が遺跡を囲うように大地を侵食してんのか」

ロイデン「これは行けねぇな…だが俺は諦めねぇぞ!!」

テンマ「大地との対話、動物との対話、そして自然との対話…!そうか!」

ロイデン「うん?どうしたよ!」

テンマ「僕達一人一人が自然の1部なんだ!だから対話するには自分たちが自然であることを認識する必要があったんだ!!」

ロイデン「つまりは、どういう事だ?」

テンマ「こういう事ですよ!」

「土魔法:ディバインアース」

テンマ「やったできた!!」

ロイデン「おい!地面がキラキラ光やがったぞ!何が起きてんだよぉ!」

青い妖精「これ…大地が浄化されていってる」

テンマのディバインアースの発動により毒の沼地は綺麗に元の湖へと戻り遺跡への道が開かれた。

ロイデン「すげぇよ…すげぇよお前!名前はなんつーんだ?」

テンマ「テンマ・ウディレードです。」

ロイデン「テンマって言うのかよろしくな!」

テンマ「ロイさんはここの宝目当てで来たんですよね?」

ロイデン「そうだけど、やっぱいいぜ」

テンマ「え、どうして」

ロイデン「多分宝より大切なもん見れたからよ!」

テンマ「ロイさん」

ロイデン「また会った時はよろしく頼むぜ友よ!」

テンマ「はい!」

青い妖精「悪い人じゃなかったみたいだね」

テンマ「そうみたいだね。じゃあ行こうか」

テンマは遺跡の中に入っていった。

水の精霊「よく来ましたね。この度はありがとうございました。」

テンマ「いいですよ!助かって良かったです」

水の精霊「私の名前はウンディーネ」

ウンディーネは全身が水で出来ている長髪で綺麗なお姉さんだった。

テンマ「よろしくお願いします。ウンディーネさん」

ウンディーネ「本来なら貴方にギフト…つまり精霊の力を与えたいのですが。実はカジャラクタの王マゼルマに奪われてしまったのです。実に嘆かわしい」

テンマ「そんな事って…」

ウンディーネ「マゼルマは私の持つ力を悪用し人工的に人に精霊の力を埋め込む兵器を作ろうとしているのです。この毒の沼地だって彼らが…」

テンマ「酷い…酷すぎる」

ウンディーネ「力の代わりと言ったらなんですがなにか力になれることはありませんか?」

テンマ「街の人の洗脳を解くことって出来ませんか?なんて無理ですよね。」

ウンディーネ「いや、私の力を持ってすれば可能でしょう、ただ奪われた力を取り戻すことが出来ればですが」

テンマ「必ず取り戻してみせます!その時にはお願いしたいです!」

ウンディーネ「分かりましたお約束しましょう。」

そして、テンマはサラシュの森を後にして今回の収穫を報告すべくカジャラクタ王国へと帰ることにした。

青い妖精「また来てねお兄さん!」

テンマ「約束するよ!」

《カジャラクタ王国 四導剣 イドラの間》

イドラ「ラナンが裏切った」

クロウリー「そんなことあるわけないよ」

キリカ「でも、証拠があるのよね」

クロウリー「これは…」

キリカ「そう、マゼルマ王が昔切り損ねた子供クルートとラナンがあってる所を我がスフィア家の愛しのお姉様が目撃したのよね」

クロウリー「なるほどね。これは黒かな」

イドラ「我ら四導剣が王を裏切るなどあってはならない。よってラナン・タニアおよびクルートの暗殺をここに決定する。」

クロウリー「はーい!りょーかいっ!」

キリカ「仕方ありませんね裁きを下さねば」

イドラ「待っていろ王家最後の生き残り…

クルート・カジャラクタよ」

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