第5話

 ある日の事である。昇降口の下駄箱の中に仮面が入っていた。周りを見ると皆、仮面を付けていく。


 では、わたしも付けてみるか。


 仮面を付けると馴染む感じである。普通に教室に向かう。その後、授業を受けて休み時間には群れている人、一人で本を読んでる人と普通の光景が見られる。


 何だろう?この気持ちは……。


『保健室登校』の文字が過る。


 わたしの大切な場所のはず。シャーペンを握りしめて机に押し付ける。プチっとシャーペン芯が折れると同時に仮面が割れる。


 わたしの居場所はここじゃない、保健室だ。その決断と共に荷物をまとめて教室を出て保健室に向かう。


「ただいま!」


 何時もの二人が出迎えてくれた。


「遅い!」


 撫子はぷーっと頬を膨らませる。分かりやすいリアクションだ。


「ゴメン」

「まー仲の良い事ですね」


 神奈川先生がお茶を持ってくる。


 わたしは幸せ者だ、仮面を外しても居場所がある。

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保健室登校の憂鬱 霜花 桔梗 @myosotis2

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