アリス・イン・ジェノサイド

プロローグ

　その日。世界は色を失った。

　陽の光を浴びた新緑の木々の色を失った。

　大海原の蒼の色を失った。

　地表を覆いつくす人々の肌の色を多量に失った。

　そう――――世界は滅んだのだ。

　滅びの残滓は荒廃の無色だった。

　誰もが思うだろう。ここにかつての極彩色が本当にあったのか―――と・・・。

　――“崩壊世代”最後の生存者の証言より一部抜粋