きっと私たちにも手の届く範囲の〝最悪〟

 アパートに暮らす男性の、ある種のご近所トラブルのお話。

 分量にして僅か2,000文字弱、サクッと読めちゃう現代ものの小品です。
 なので、あえて詳しくは語りません。読んじゃった方が早いのでぜひ読むべき。
 ある種のグロまたはホラーみたいな側面もありますけど、そのパンチ力がもう本当にとてつもないので。

 なにがすごいって、そのぐいぐい身に迫るようなリアル感!
 細部をコツコツと積み重ねるような描写に、それを語る主人公の〝諦めきった〟視点。
 それらの醸す手触りの生々しさが本当に強烈で、このお話をまったく他人事にさせてくれない、その手際がもう凄まじいのなんのって!

 はっきり我が事として想像できる、いやしたくなくても無理矢理させられちゃう物語。
 現実に起こりうるというか、たぶん現実のどこかには普通にあるはずの光景であることも含めて、とにかくとんでもない破壊力の作品でした。