崩壊都市の戦姫《ヴァルキリーズ》

サクラ

第1話 崩壊

3265年9月27日。とある没入型体感ゲーム、『TS』と呼ばれるゲームが開発された。それはゲームの中に入り込むことができどこでも手軽に異世界冒険を可能にした。しかし3272年、5月39日。BREAK・Dayと名付けられたその日。ゲームプログラムが暴走してしまい世界はゲームフィールドに包まれた。そしてその包まれたゲームフィールドには全く導入されていなかった新しいゲームが展開されていた。それは謎の生命体アンノウンと人間の戦うゲームである。人々は新しいイベントかと思い楽しんていた。しかしアンノウンは強く全く歯が立たなかった。人々は死んでいく。アンノウンによって人類総人口の9割が死滅した。そして唯一立ち向かうことができた少女達、戦姫【ヴァルキリーズ】は世界を救う為にその身を戦場へ投じるのだった───。


BREAK・Dayから8年。アンノウンとの戦いは膠着していた。戦姫達の力がアンノウンを抑えだしたのは今から2年前のこと。開発段階で企画がストップしていたIUINFINITEUNIT《インフィニットユニット》の実験が再始動し多くのヴァルキリーズや技術者、一般人の犠牲を出しながら制作に成功した試作機である『試験機・雫』を実践導入。操縦したのは開発に携わっていたヴァルキリーズの1人であるフェイナだった。『試験機・雫』の力をフェイナは十二分に発揮した。しかしエネルギー問題を克服しきれてはおらずアンノウンとの戦闘中にエネルギー枯渇に陥り雫は破損。戦闘終了後雫とフェイナの回収をしに向かったチーム[リビド]からの連絡は聞くに耐えぬ物だった。『試験機・雫』は修復不可能にまで破壊されてかろうじて残ったのはメインリアクターだけだった。フェイナは首を切られ腹を切られ内蔵はえぐられ飛び散り手足は切断され骨の全てを折られていたらしい。ヴァルキリーズは人よりも丈夫の為人が死ぬであろう外傷を負っても生きている可能性はあった。だからここまで残酷で無残にされても生きていたであろうフェイナはどんな苦しみを味わっただろうか。[リビド]のリーダーであるクミカは荷物になるだけだからとフェイナをその場に置き去りにした。それが正しい判断だったかは誰にも分からない。しかしそれからIUの開発は順調そのものだった。


「はーはー……C班は撤退!B班は補給の手伝いをして!D班とE班はA班に続いて!ここはなんとしても死守するぞ!」

「はい!」一同

「F班はそれぞれ行動して!」

「りょーかい!このまま先行する!」

「援護は任せて!」

ここは《アンノウン第一次防衛ライン》である。ここは人類が生きている地下大都市ディメインの入り口。そこの指揮を担当し守護するのは第三世代IU《玲》を扱う戦姫のエリシア。エリシアは人を率いるのに長けており状況判断と即断力を見込まれてここのリーダーを任された。貧乏くじだと言うが彼女はそう思っていなかった。自分を大切にしてくれる仲間や部下の為にも、人々の為にも自分でなければ務まらないし事が欲しかったからだ。そして自分の班のF班には仲のいいサクラとファシタがいる。サクラはピンク色の髪に深紅の瞳を持つ12歳の少女である。サクラは超近接特価で機動性と火力と武装の多さに重点を置いて作られた最新の第四世代であるIU《暁》を使っている。特徴としてメインリアクターである主機に核融合炉を使っており半永久的な活動を可能としている。背中に2本のバスターソード星破刃せいはじん壊羅刃かいらじんを装備し背中の真ん中には太刀の罹刀・縛刃りとう・ばくじんを1本。両腕には小型のパイルバンカー覇終杭はついくいを2対仕込んでおり腰回りの左右の補助ブースターの収納には刀を2本持ち膝の中には打ち出し式のナイフを内蔵。足には展開可能の刃が付いている。付属パーツとして浮遊型機銃のESTA《エスタ》が4機4組の計16機付いている。ファシタは青い髪に黄色と紫の瞳をした18歳の最年長の戦姫の1人である。ファシタの使うIUは遠距離狙撃を主軸に作られたIUである。半径15km先を狙撃することができるSchlager《シュラー》をメインにサブマシンガンのSchlagerdoa《シュラード》やハンドガンclark《クラーク》等を装備している。主機周りにレアメタル鉱物に守られております主機であるリアクターを二機直列運用している為1週間は補給なしで戦える。エリシアの使っている《玲》は万能型で中距離用ライフルbibtexnirvana《ヒフニル》を装備し左右両方にエネルギーシールドdearbless《ディアブレス》を装備。ブースターには予備ライフルを仕舞っておくコンテナが付いている。


アンノウンが全滅してから私達は第一次防衛ラインの拠点である《タナトス》に帰ってきた。

「各自休憩や補給を怠らないで!見張りは交代でA班C班B斑E班F班D班の順で行う!以上解散だ!」

第一次防衛ライン隊長のリトの指示をきいたあと私達班長は解散する。それから部屋に戻るとサクラの姿はなくファシタだけがいた。

「おかえりエリシアちゃん」

「うん。サクラは?」

「サクラちゃんなら《暁》の整備に行ってるわよ。ほら、サクラちゃんって自分で内部システムとか装備設計とかしてるじゃない?それのせいで整備できる人が少ないから」

「あー……確かにそうだな」

「次の任務の概要は?」

「次は第一次防衛ラインの防衛力強化だそうだ」

「いくら強化するんだろうねリト隊長」

「私にも分からん。だがいつかこの戦いが終わればそれでいいだろう」

「そうだね〜、エリシアちゃん」


僕はサクラ。全てをアンノウンに奪われた人間。戦姫として戦っているのはお姉ちゃんを探すため。お姉ちゃんは戦場に出て行方知れず。そんなお姉ちゃんを私が救うんだ。絶対に。何があっても。

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