「Roba was not built in a day.」《ローバは一日にして成らず》
【解説】
似たような諺に『ローマは一日にして成らず』と言う諺があります。この諺は、古代ヨーロッパ最大の帝国といわれたローマ帝国が、築くまでには約700年という年月がかかったことに由来しています。
このお噺は、このお噺の筆者『ローバ』さんの人生そのものです。ローバさんの積み上げてきた、至極のお噺の数々が記された、謂わばローバさんの人生の金言集とも言うべき作品です。一朝一夕で書けるようなお噺ではございません。
御本人様はソレを冗談めかして面白可笑しく、それこそ落語の噺家さんのような語り口調で語ってはおりますが、その内容はタイトル通り、実に充実したもので、どのお噺にも感銘を受けます。
ですので、ここで語られるお話のことを、お噺と呼ばせていただいております。
噺の内容は本人が見聞きし、体験、体感した事などを書き綴ったものとなっておりますが、そのどれもが面白く、読み応えがあります。
私はこの寄席に、度々足を運んでは、扇子や手ぬぐいを使って、高座で朗々と語られるお噺を愉しんでおります。小気味良い小拍子の音と共に語られる、テンポの良い語り口調の様な文章が秀逸でクセになります。
一気に読むと勿体ないので、私は少しづつ愉しんでいるのです。
私、噺家ローバさんのファンの一人として、皆様にもお薦めしたい。
どうぞ、ご一読、否、お聴きになってください(*μ_μ)
あの頃。
若かったあの頃。
地図に無い街を探すのではなく、誰もが地図そのものを持っていなかった。
不安と戸惑いの中、見つけた恋の光。
風に吹かれ消えようとするその光が照らす道を、それでも唯一の道と信じ。
必死に守り歩く若き日々。
恋はやがて愛に変わり、
喜びは厳しさに変わる。
それでも歩き続ける人生は、あの頃夢見た輝きに満ちたものには程遠く、
何気ない平凡な日々だけが過ぎていく。
ある時、自身の歩んで来た道を振り返ると、
いつしか、若い輝きも消え去ったことに気づく。
しかし、必死に日々を過ごしてきただけの道が、実は強く輝いていた事にも気づく。
自分の人生を語るこの物語は、年齢を重ねたからこその光を僕たちに見せる。
決して順調ではなかった人生。
しかし、穏やかな作者の優しさそのままに、軽やかに語られていくその人生。
作者は、教えてくれます。
その人が、大切に過ごしてきた人生の光をほんの少しわけていただく。
それが、文学というものだと。
おすすめの作品。
ぜひ、お訪ねください。