人生とは、世界でたったひとつ存在する、その人だけの素晴らしい物語だ。

 あの頃。
 若かったあの頃。
 地図に無い街を探すのではなく、誰もが地図そのものを持っていなかった。

 不安と戸惑いの中、見つけた恋の光。
 風に吹かれ消えようとするその光が照らす道を、それでも唯一の道と信じ。
 必死に守り歩く若き日々。
 恋はやがて愛に変わり、
 喜びは厳しさに変わる。

 それでも歩き続ける人生は、あの頃夢見た輝きに満ちたものには程遠く、
 何気ない平凡な日々だけが過ぎていく。

 ある時、自身の歩んで来た道を振り返ると、
 いつしか、若い輝きも消え去ったことに気づく。
 しかし、必死に日々を過ごしてきただけの道が、実は強く輝いていた事にも気づく。

 自分の人生を語るこの物語は、年齢を重ねたからこその光を僕たちに見せる。

 決して順調ではなかった人生。
 しかし、穏やかな作者の優しさそのままに、軽やかに語られていくその人生。

 作者は、教えてくれます。
 その人が、大切に過ごしてきた人生の光をほんの少しわけていただく。
 それが、文学というものだと。

 

    おすすめの作品。
    ぜひ、お訪ねください。
 

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ローバの充日

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