第4話 需要と供給における議題と信用の第一
経済学の古典から、需要供給曲線のことは広く知られるようになった。需要が多いが、供給が少ない時、その価格が上がることは特に相場のある世界ではよく知られている。オークションの形式を取る物品においても同様のそういった価格の形態を取る。しかしながら、商業における道義を考えた時に果たしてそのようなことでよいのだろうか。
供給より需要が多いならば、価格を上げるということはすなわち、飢饉において米が不作になった時、米の売値を高くすることに他ならない。このことは、商業の原点において明らかに道義的な問題を抱えている。
その場合、確かに価格を上げることによって開墾し、田畑を増やすことができるという名目を建てることもできる。それには一見一理あるように見える。しかし、このことは、地域、国、あるいは地球上の人々が困難な状況にある時、金持ちだけを助けるということに他ならない。かといって、有限な物品を人に渡す時、ある人には渡し、ある人には渡さぬとなれば、そのこともやはり腐敗の温床になることだろう。
もし、国民国家のためを思うなら、平時より信用のあるものにそれを渡すべきであり、単に資産を持っているからということで、それを渡すべきではない。そうでなければ、平時においては他者より金品を巻き上げる事に秀でた者が、難時にあっても優位に立つということになってしまう。
すなわち、商業においては信用を第一とすることこそがその道義であると言える。
商業乃道 山川一 @masafuro
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