理想死
浅貴るお
理想
理想死とはなんだろう?
とある老夫婦の死を覗いてみよう。
晴れた日の昼下がり。由紀子と一郎が縁側に座って、お茶を飲んでいる。
お茶を飲み終わると、由紀子がお茶を片付けに台所へ行った。
少しすると縁側に戻って来て、由紀子は一郎の横に座って手を握る。
お互いの脈動を感じながら、ゆっくりと二人は床に寝転んだ。
お互いに脈が弱まって行く。
二人の眼がゆっくりと閉じられ、眠りの微睡(まどろ)みを感じながら由紀子は逝った。
由紀子の眠りを確認したあとに、一郎も眠りにつくのだった。そう一生の眠りに。
そうして、ほぼ同時に穏やかに生涯を終えるのだった。
終わり
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