第18話 言い分


 居酒屋の美女と一夜を共にした俺は、携帯のマップを見ながら急いで白宿園に帰ってきた。


「おいおい、コウイチ朝帰りかー?楽しそうで何よりだなー。」


 食堂で朝ごはんを食べていたモーガンに声をかけられたが大声でそういうこと言うなよと思いながらも手をあげることで返事をして急いで自室に戻った。


 居酒屋の出た後のことを思い出そうとしても全く思い出せない。やっぱりすぐ寝てしまったのかな〜と考え事をしながら自室の扉を開けた。

 そこではなんということか、なんとカレンさんが全裸で1人でやっていたのだ。それも俺の枕を嗅ぎながら。


「ぎゃぁぁぁぁぁぁあああーーー!!!」


「あっ、えっと、、ごめんなさい。」


 そう言って扉を閉めた。俺にはなぜ俺の借りた部屋で1人で朝からやっているのかの疑問しか残らなかった。


「おい?大丈夫か?」


 下から駆けつけた冒険者達が俺に声をかけてきた。なかなかの悲鳴だったので下の方まで聴こえていたようだ。


「やっぱりコウイチお前か。お前らは降りろ。」


 後からモーガンが出てきて、他の冒険者たちを下に下ろしていった。


「女遊びもほどほどにした方が良いぞ。俺が言えたことじゃないがな。わはははは。」


「いや、別に女遊びをしたわけじゃなくて、なぜこういう状況になったのか俺もよくわかってないだ。」


「コウイチさん?朝まで女遊びをしてたんですか?」


 カレンさんがドアから顔をひょこっとだして聞いてきた。ちゃんと服は着ていた。


「そりゃ、朝帰りだと女遊びしかないだろ。」


 いや、そうじゃないけどそうじゃないとはいえない状況で朝を迎えたからな。俺の頭でも全く理解してないのにどんどん話を進めないでほしい。


「俺も酔いつぶれてどういう状況がわかってないから部屋に入って整理させてくれ。」


「あぁ、聞いてやろう。コウイチの言い分を。」


「えっ、モーガンさんも聞くんですか?」


「よく俺の名前を知ってたな。ん?冒険者ギルドの噂の新人か!仕事が早くいい評判しか聞かない子だな?」


「はい!カレンと申します。モーガンさんはこの風車街ではとてもお世話になっているので覚えておりました。以後お見知りおきを。」


「おう、よろしく頼むな。」


 そう言うとモーガンは部屋に入って行った。カレンさんは俺に「モーガンさんともお知り合いなんですね!すごいです。」と耳打ちした。


 モーガンさんは椅子に座り、俺とカレンさんはベッドの上に座った。


「確認だが、無理やり連れ込んだ訳じゃないんだな?お互い同意があって部屋にいるんだよな?」


「うーん、同意があったわけじゃないな。昨日2人で飲み行ってカレンが寝てしまったから仕方なく部屋に運んだが、襲ってしまいそうだったからまた外に飲みに行った。」


「酔い潰れてしまってすみませんでした。」


「まあ、それなら仕方ないか。で、朝からびっくりして悲鳴をあげたのか?」


「まあ、そうですね、びっくりして悲鳴をあげちゃいました。」


 1人でしてた事は隠すつもりか。まあ俺も話をツッコむつもりはないが。これでひと段落かと安心しきっていた。


「そしてコウイチは朝帰りだが、女遊びをしていたのか?」


「い、いや、女遊びはしてないっていうか、なんというか、酔い潰れちまっただけよ。」


「嘘だな。」

「嘘ですね。」


「なんでだよ、本当に隣の居酒屋で飲んで寝ただけだよ。記憶はないけど。」


「じゃあ、朝はどこにいたんだ?」


「朝は、、、ホテルにいた。」


「誰といたんだ?」


「居酒屋のねえちゃん。」


「やったのか?」


「分からない。でも昨日の夜めちゃくちゃムラムラしてたのは覚えてる。」


「ごめんなさい、それ私のせいです。」


「どういう事だ?」


「私コウイチさんに襲ってもらうように昨日飲んでる途中に魔法薬の媚薬をエールの中に入れました。ごめんなさい。」


 だから、昨日あんなにポカポカしていろんな女性が可愛く見えて発情してた訳だ。

 てことはやっぱり飲み屋のお姉さんとやってしまったのか……。

 媚薬のせいだから仕方ないとはいえ、謝りに行かないとなぁー。悩みが募っただけだった。

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

守人(カットマン)無双〜卓球していたおかげで異世界満喫生活〜 avocado @avocado8192

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ