Lady、君は雨に濡れて僕の眼を少し見ていた

何気ない話だが、描写がいい。
雨音が響いてくるよう。
年上のお姉さんにときめいてしまったのかしらん。

バス停で見かけた女性の描写が良い。
紙パックを捨てたあとで、「右手で前髪をぐわっとオールバックに掻き上げ」て「かさ貸してよ」というのだ。
目に浮かんでくる。
ひと昔やふた昔前くらいは、そういう人をみたような気がする。
ロックな感じがする。

傘を返しに来ただけの彼女。
しょげた主人公に彼女はどうしたか。
煙草を指できざったくつまみ、片目を閉じて「大丈夫。また会えるわ」と意味深な言葉を残すのだ。
クールでかっこいい。

かすかな煙草の煙は、彼女がいた証。
匂いだけを漂わせて去っていく。
余韻が良い。