こんな友人が欲しかったと思えるような作品でした。情景の描写のリアルさが、とても素晴らしいです。
拭い切れない不安を抱えながらでも、例えどれだけ遠回りでも、絶対にそこに辿り着くという強い想いに、心を打たれました。そういった想いは必ず届くということを、改めて教えられたような気がします。この作品が読者に与える追体験は、心のどこかに仕舞われていた大切な何かを思い出させる、一つのきっかけになると思います。とても素晴らしい作品でした。読み終えた後に心の底から溢れてきた感謝の気持ちを、ここに残します。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(431文字)
心のバッテリー切れは、昨今の社会ではよく起きる現象だろう。けれどそこに駆けつけてくれる友人の車はそうそうない。苦しかったんだね。辛いね。そう共感してくれる存在のどれほどありがたいことか。すごく良い話だと思い、私にもまた、そんな存在が思い浮かぶことを幸運と感じた。
深夜も0時を過ぎた頃、有無も言わさずドライブへと友人に連れていかれることになった話。一方的に友人のあまり運転をしないという話は続いていき、戸惑いと鬱陶しさが芽生える中、友人の話はある事へと着地していき──悩み立ち止まる友人へ、優しく助けるドライブへの誘い。