ブラックヘッド

高黄森哉

文字列

 現れた文字列は膨大だった。その文字列を消化するため、頭を消費する。詰め込みたくもない情報が頭を覆っていく。それは、数字だったり、英語だったり、土地名、歴史、世界史だったり、漢字、古典、漢文だったりした。


 頭が熱い。知識を消化するたびに頭が熱くなる。間違えがあるたびに頭が、かーっと熱を持つ。頭の靄が増えていく。頭から、情報だった残りカスが、零れ落ちる。熱い、熱い、熱い。


 頭を黒色が埋めていく。覚えたくもない情報が消えて、代わりに頭が黒化する。身を削るように消化していく。その作業中もずっと頭が熱い。熱い、熱い。


 白かった、空白、いや純白ともいえる頭は、今では、まっくろで、白いところがなくなり、隙間なく、知識の残骸が、へばり付いている。それは、どす黒い、いらなかった物たちの残骸。黒い頭で必死に消化しようとするが、ぼやけてしまう。キャパシティを超えたのだ。


 すべてがぼやけてしまう。詰め込み過ぎて、もう使えなくなった頭は、頑張るが虚しく発熱するのみで、靄々を増やしていく。全ての知識は、そうして霞みがかる。消化しよう消化しようと頑張って、そして、お終いに、身体がまっぷたつに折れてしまった。熱い、熱い、熱い。









「おい、お前、その消しゴム、ボロボロじゃねえか。新しいの買えよ」



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ブラックヘッド 高黄森哉 @kamikawa2001

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