星が飲み込む

たぬまる

星が飲み込む




パクッと食べられる。いや、もう食べられていた。



時間は二十時になるところだった。全員がスマホに目を向けて、黒い星を眺めていた。

「それはきっと美しいに違いない。」

そう思って、私もスマホに目を向ける。

星はキラキラと光り、発見やときめきを与える。何より、私の興味と時間を奪っていくのだ。指先が星たちに触れるたび、心が躍る。目で星たちを追う度に、胸が弾む。私の頭の中の星たちはテトリスのように積み上がっていくのだ。

「なんて充実しているのだろう」

黒い星たちは光り出すと、こんなにも眺めたくなる。以前は光りのない星も存在した。今でも少しだけ存在しているが、電車の中だけを見たって、ほとんどの人類が光る黒い星たちに夢中なのだ。危機感や嫌悪感なんて微塵も感じない。むしろ、興奮と安心感に包まれている。


「そう思っていた。」


黒い星たちは、覚醒した。次々と人類を飲み込んだ。老若男女問わず、多くの人類を飲み込んだ。今までの安心感は嘘のように滅び、私のテトリスも積み上がり、崩れ、エラーコードがつmik@さnAた。死にそうだった。赤黒い凸凹した異様なパーツだけが落ちてくるのだから。テトリスが少しエラーすれば、私の身体も熱がでたり、頭痛がするのだ。それが異常な、とんでもなく異常なエラーだった。

ただ、その時に気づいたのだ。

私が指先で伝えた黒い星たちが、人間を食べることを。

パクッと。



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星が飲み込む たぬまる @suzutamaru

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