キリスト教原理主義者による(一部伏せ字)の逮捕・起訴
@HasumiChouji
キリスト教原理主義者による(一部伏せ字)の逮捕・起訴
「あの……貴方には弁護士を雇う権利が有り……」
「何で呼ばれたのかは判らんが、ミランダ警告とやらの事は良く知っておるよ。省略してもらって結構じゃ」
「ですが、貴方の今後の発言の内容によっては貴方に対する逮捕状が出る場合が有ります。『貴方の発言は貴方にとって不利な証拠となる可能性が有るので気を付けるように』『貴方には黙秘権が有るので貴方に不利な質問には答えなくてよい』と云う警告はしておきます。この警告を念頭に置かれた上で、私の質問を受けていただけますか?」
「ああ、判ったよ」
「先頃、我が州で『人工妊娠中絶は一級殺人と見做す』と云う法改正が行なわれ、その法改正に基く刑事事件の取調べ中でして……」
「その件に関しては、言いたい事は色々有るが……基本的に君達の州の問題では無いのかね?」
「ところがです。SNS上に、ある科学者がとんだ戯言を書き込みまして……」
「何じゃね?」
「『父親と母親から受け継いだ遺伝子の相性のようなモノで、卵子が受精してすぐに受精卵が死んでしまう事など良く有る』……えっと、正確にはもっと専門用語を使ったものでしたが……英語に翻訳すると、こういった内容です」
「それがどうかしたかね?」
「あ……あの……」
「何じゃね?」
「科学者ともあろう者が、このようなデマを撒き散らすなど……」
「まぁ、不正確な点は有るがな」
「やはり、そうでしたか。どのように不正確なのでしょうか?」
「ええっと、何と言うか……ああ、あれじゃ映画の『アベンジャーズ』のブラック・ウィドウ役の役者の昔の主演映画の……」
「はぁ?」
「だから、あれじゃよ。『
「あの……我が州の法律では、受精した時点で人間と見做す事になっています。では……」
「君の州の年間の死者数は、その法改正のせいでハネ上がるな」
「何とかする方法は?」
「無い」
「待って下さい。この状況を放置されるのですか?」
「仕方有るまい」
「そもそも、
「な……何故と言われても……」
「判りました。本名不詳、えっと……ミスターでいいのかな? ともかく、
キリスト教原理主義者による(一部伏せ字)の逮捕・起訴 @HasumiChouji
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