Ep.おまけ 翡翠が残した記録
第41話 一ノ瀬陽菜のログ
イフは寝静まった家に帰るとすぐに自室の電気をつけた。そしてカラーコンタクトレンズを外して、意識を手放した。主導権を翡翠に渡す。こうしていれば、翡翠は一ノ瀬陽菜から抜き取った情報を文章化してまとめてくれるのだ。
それからしばらくして、イフが目覚めた。愛用のパソコンを操作し、見知らぬファイルを見つける。「群青システム ログ」、そう書かれたファイルをクリックすると、中には一つのテキストデータが入っていた。
「「No.1 一ノ瀬陽菜」か。これからどんどん増えていくんだろうな」
イフはそのテキストデータをダブルクリックした。
◆
「ふぅん」
イフは翡翠が残した一ノ瀬陽菜のログを読み終わり、どこか腑に落ちないようでその表情が変わることがなかった。
洗脳される側の感覚や、始まりの小さな欲望、想いが書かれているのは、こちらにとってもいい情報になる。良い情報になるのだが……。
彼女のここ数日の思考の中に、「父親を殺したといってもいい人物を探して殺す」という選択肢が無かったことがイフには到底理解できなかった。
「メディアに出ていない……? いや、ネットニュースには載ってるものもある……」
愛する人を失った者が怒りの感情や復讐の意思がないことに違和感があった。五年という歳月が、怒りの感情を失わせてしまったのだろうか。
「まぁでも……実質父親を殺した犯人に矛先を向けなくてよかった」
イフはカタカタとキーボードを叩く。
ディスプレイに表示されたとあるネットニュースを見て、彼女は呟いた。
「まさか、父親の会社を倒産させたハッカーが、〈Bubble〉なんてねぇ」
群青システム ー非日常を求める者達の洗脳計画ー 星部かふぇ @oruka_O-154
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