過激なダイエット法
ボウガ
第1話
ある女性が、都市を捨てた人々が住むコロニーの一角に自分の部屋を借り暮らしていた。かつて、10年ほど前に第三次世界大戦が行われ、世界はぼろぼろになった。だが今は徐々に世界は復興しているところだった。この女性は、そんなことなど無関係に、わりと面倒くさがりで、運動をせず食事に気を付けていなかったため、高カロリーの食事をとるだけでどんどんふとっていき、事務仕事をしていたので勤務中は運動もあまりできなかった。しかし20代後半になると周囲が結婚したりして、幸せの中にいるのを傍目に見ることが多くなり、自分も幸せになりたい。とやせることを決意した。
彼女が手を出したのは《好きなものを嫌いになることで、食欲を減らす“好き嫌いダイエット法”で》巷でわずかな人気となりつつあった。というののも、周囲の国々
とくらべて彼女の住む国は豊かな国だった。大河の流れる国で、魚もよく取れる。そして彼女の国は“料理がとてもおいしい”ことで有名だった。おいしいのはいいが、しかしジャンクフードのようなものの人気も高く、人々はいつでも好きなものを、好きなだけ食べて、そのせいで太っていた。そこへきて彼女が手を出したのは、その好きなものを好きな気持ちを利用したサプリメントや食品群である。その“やせる”食品にもサプリにもある薬が入っている。それは“飽き”を早く感じさせる特殊な成分だった。
確かに彼女は徐々にやせていった。その成分の効き目がすさまじいもので、彼女の好きな、果物、ラーメン、アイス、ピザなどは、すぐに彼女の嫌いなものリスト入りをして、彼女は順調で気分のいい毎日を過ごしていた。順調に痩せたおかげで彼氏もできて仕事でもちやほやされる順風満帆な生活。だがある時、彼女の体に異常がおきた。体調がすぐれず、熱が下がらずけだるい、眠れぬ日が続き、仕事も休みがちになった。というのも、確かに彼女は急激に痩せすぎていた。あらゆる食品を嫌いになり急にほとんど食料にてをつけずついにはガリガリにやせこけた。そんな状態だったからだろうか?不調が訪れたのは、だが彼女はそれだけじゃないように思う出来事に遭遇した。最初はそれでもよかったがあまりにその不調が長引いたので、彼女は会社を首になりそうになった。そこで、急激にやせたせいだとかんがえ彼女は無理なダイエットをやめようと決めた。ダイエットをやめて1か月、“飽き”の効力はきえ、また元の好きなものをたべはじめ、彼女はリバウンドした。それから徐々に彼女の体調は好調になりつつあったので彼女は、不調だった原因はやせたことではなくそのダイエット商品のせいもあるのではと考え、その“薬”の成分を疑った。だが問題はもっと根の深いところにあった。その後10年かけ、国の支配体制が変わることによって実態は明らかにされていったが、商品自体が問題だったのだ。
彼女の住む国は権威主義的な国で、富裕層やら、知的な人間、地位の高い人間たちの力がつよく情報が統制、管理されていた。第三次世界大戦は起きたが、その戦果の大きさはその国がついた嘘で実際はもっと小規模なものだった。その国でコロニーの存在は、“いつまた戦争が起こってもおかしくないから”とされたが、実際コロニーにおしこめられたのは大半の金のない貧困層だった。富裕層や地位の高い人間は、事実をしっていた。滅びた文明や国も徐々に復興していて、その跡地にいきなり人口が急激に増えたことで人口爆発がおき各国は、食糧危機に向き合わなければならなくなっていた。その事実や戦争の内情を人々にしらせないためにコロニーは建造された。第三次大戦で核兵器がつかわれ、その土地にはまともな食料がつくなくなりつつあり、しかし、その国は貧困層にその事実を隠し、足りない食糧をそんな場所から確保しようとした。ちょうど彼女がサプリに手を出したとき、その国では時にジャンクフードやそうしたサプリに粗悪品、突然変異をした食品などが、徐々に人々に知られず提供されるようになっていた。確かに痩せる効能を少しはもつが、結局のところ、その世界の、その国の偉い人間たちや、富裕層が将来世界的に本格的に食料危機が訪れるとさとり、食品の中に粗悪品をまぜる、口減らしのための計画だったのだった。
その後彼女はそのことを、ダイエットをやめた数か月後に、幸運にもあるグループ……国に反感をもつ、ある闇組織の人間によってコロニーの大多数の人間に知らされ、そのダイエット法や薬や食品はすぐに回収騒ぎになった。女性も無理なダイエットをやめ、できるだけよさそうな食品を極力少量くちにすることで、生き延びることを決心していったのだった。やがて付き合っていた男性と結婚をし、子供をもち、なんとか幸福に日々を生き延びたのだという。女性と結婚した男性は、やせている時に初めて出会った男だったがこれがいい男で、彼女が幾度もリバウンドしようと、彼女をはげまし、やせることも太ることも自由にするべきだ、と彼女を支え、生涯の伴侶となったのだった。彼女は健康に対する不安を抱え続けたがそれと戦い続けたのだという。
過激なダイエット法 ボウガ @yumieimaru
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