思い通りに行きなさい、あなたの道を生きなさい、昨日に囚われないで。

カクヨム甲子園2022 ロングストーリー部門
奨励賞おめでとうございます。


ファンタジーの力を借りて、前を向いて生きる力がもらえる作品。
夢を見せてもらえたのは、家に招いてお茶や食べ物でもてなしたから。
いわゆるお供物をしたから、カミサマも仕事ができたのだろう。

主人公の親が、神様にお願いをしたから出会えたのだろう。
カミサマと主人公は対になっている。
主人公の親は、一人息子をなんとかしようと神様にお願いしたに違いない。
神様は、この案件を仕事をサボっている息子にやらせてみようと思って、カミサマを地上に行かせるようしむけた結果、二人は出会ったのだと邪推する。
だから終わり際に、カミサマが再びやってきて親の話を持ち出すのだろう。

親と子の微妙なズレが、軋轢となっているのだ。
親の考えは、結果的には正しい。
考えを飲み込ませるには悟りを解いて、納得させる必要がある。
それができる存在にいたのが、姉の麗奈だった。
「大切なものを過去に費やしちゃ、ダメだよ」
姉の言葉は、素直に胸に届いただろう。

愛は形だとカミサマは語り、
「感じるままに生きなよ。都合良くやってけば良い。嫌な事からは逃げれば良い。そんなんで良いんだ」と教えている。
まず形を身に着けてから、思うようにやってみろと基本を説いている。
生きる上で大切なことだ。

思い出にひたるのもいい。
すがるのもいい。
なぜなら、明日に向かって今を生きるため。
そのことを本作はあらためて教えてくれている。