第34話 決着 ゴールドプレート冒険者
「リック、深追いするな! マルセルは三つ数えたら戦士にウォータージャベリンを打て!」
俺は階段に上がり、全体を見渡す。【加速視】と【未来視】を使い、戦況を先読みをする。
「コレットさん、ミアさんにバフ魔法! ソフィアさん、ルフィアさん、シーフを後方に弾き飛ばせ!」
相手は格上のゴールドプレートだ。一手違いで死にも繋がる。
「ミアさん、ナイトのチャージを一撃耐えろ! ローランド、レベッカさんは足を止めたナイトを扉まで押し返してくれ!」
俺の未来視では、バフ魔法を受けたミアさんなら、ゾンビ騎士の一撃は耐えられる。
「コレットさん、毒霧がくる! カウンターしてくれ! リックはしばらく戦士とタイマンしてくれ、お前なら出来る!」
俺の指示で、全員がゴールドプレート相手に奮闘する。そして戦闘から八分が経った。ここが勝負時だ。
◆
「リック! 戦士にウェポンバーストだ!」
「オウ! 待ってたぜぇ!」
「リック、ローランド、戦士を扉の向こうに押し込めろ!」
「ミアさん! レベッカさん! 勝負どころだッ! 騎士の猛攻にその場で耐えてくれ!」
「ソフィアさん! ルフィアさん! シーフの足を止めろ!」
「コレットさん、リリアンさん、マルセル! 扉奥に魔法を打ち込め!」
あと少しだけ、みんな頑張れ!
俺は更に未来視で最適解を探しながらみんなに指示を出す。この中で一番攻撃力が低いのは俺だ。
破壊力ならリック、突破力ならローランド、戦闘技術ならレベッカさんに一日の長がある。
連携プレイならソフィアさんとルフィアさん。
魔法は言わずもがなのマンセルにリリアンさん。
コレットさんの神聖魔法によるバフ支援も心強い。
そしてミアさんは最強ギフトの雷聖は封印しているが、実戦の中で生きた剣を覚えた剣技はとても美しい。
◆
「今だ!」
リック達がアンデッド戦士を扉の向こうに押し込んだ。
【加速視】!
加速視で短い時間の中で行動回数を増やす。リックを持ち上げて、アンデッド騎士目掛けて投げつける。
動態視力の高いローランドは加速世界で動く俺の動きが、わずかに見えている。俺の意図を察して、ローランドも襲歩でアンデッド騎士にチャージを仕掛ける。
ミアさん、レベッカさんもラッシュを仕掛け、フィジカルのかたまりであったアンデッド騎士が扉の中に後ずさる。
あと三秒!
「押し負けるな!」
「「「オウ!!」」」
あと1秒!
第三階層への入口の扉が閉まり、広間に残ったのはアンデッドシーフだけだ。
そして俺の未来視はその終焉をすでに捉えている。
「全員でぶっちボコボコのフルボッコだ!」
ゴールドタグプレートを持つアンデッドシーフも数の暴力には抗えず、一分と持たずに倒される。
ダンジョンモンスターと化した死体は霧散して消え、そこには銀色に輝くダガーと小さなゴールドタグプレートだけが残った。
「冒険者ギルドに届ける」
ゴールドタグプレートを拾いあげたルフィアさんが呟くと、俺達全員が頷いた。
「アベルさん、これを」
ソフィアさんが俺に差し出したのは、シーフが使っていた銀色のダガー。刃部が妖しく光るマジックウェポンだ。
「おれが? いやいや、俺が一番働いていなんだ。受け取れないよ」
そう言って断ったのだが、
「アベルが一番活躍してんだよ」
「そうだな、アベルの指示は的確だった」
「アベルさんは、私達が生き延びる未来を見ていたから、私達はその指示を疑う事なく全力をだせたんだよ」
「ミアちゃん、あっちの件もアベル君でいいんじゃない」
「そうね、そうしましょう」
「あっちの件ってなんだ?」
「来月から始まるフォルティオンベル学院内予選。私達はこのメンバーで大会に出る予定よ。そしてそのリーダーにアベル、あなたがなるのよ」
なるのよって決定事項かい!
「俺は賛成だ」とローランドが言うとみんなも賛同した。
で、フォルティオンベルってなんだっけ?
豪勇無双の魔眼使い 〜俺の魔眼で見えるのが女子生徒のおっぱいだけじゃないって事を教えてやるッ! いえ、婆っちゃん達はご遠慮ください!! 花咲一樹 @k1sue3113214
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