2.7

若者の話を聞いて、というか吐き出すだけ吐き出させて部屋に返したその後。

なんというか、若者の熱量に当てられた心地でぐったりしているとどこからか鈴を転がすような笑い声が聞こえてきた。

「おいこら、ラトス。人を笑うたぁどういう了見だ」

ーだって先生、本当におじさんみたいでー

ころころとした笑い声と音を伴わない言葉が同時に[聴こえて]くる。いつものように、念話と呼ばれる技術で言葉を飛ばしてくる相手にため息混じりの言葉を返すのもいつものことではある。

「みたい、じゃなくて俺はおっさんなんだっての。なりゆきで相談役みたいになってるが、本来はこういうのも向いてねぇんだよ。引きこもって研究してる方が性に合ってるっての」

ー存じておりますともー

「帝国にある邸宅、どんだけ戻ってねぇかなぁ。研究したい魔術もたくさんたまってきてるんだが」

ー先延ばしになっていますしこの砦の事が終わりましたら戻ります?ー

「そうするかぁ。ラトスもゆっくりしたいだろう」

ー私は先生が思うままに動けるならそれでー

「迷惑かけるな?」

ー私のしたいことですのでー


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魔王討伐に至るまでの僕と彼女の話 @bay193

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