第17話 無双者の終焉

「……」

「十六夜月さん、覚悟決めるか」

「ああ、ハール組とかは帰ったな?」

「十六夜月組だけ、今いるのは」


十六夜月達はピンチに陥っていた。

高句麗軍が最後の猛反撃をしてきたのだ。

被害を減らすために上杉謙信らは全員撤退、ハール組も撤退させた。

正しく言うと撤退を無理やりさせたが正しかった。

そして、今いるのは十六夜月と虹川ステラとオリとスライドと不知火焔のみ、軍隊の数も5万に対して相手は30万。

どんな最新鋭武器があっても勝ち目はなかった。


「すまん、1時間時間を稼げ」

「なして?」

「1時間待って何もなければ全員、持ってるリボルバーで自害せよ」

「あいよ」

「最後の戦が負け戦ねぇ……」

「さあ!港を守るぞ!」


こうして、『絶対に勝てない』防衛戦が始まった。

どんな技術を使っても絶対に勝てない戦い、まさしく無意味に近かった。

しかしここで時間を稼がなければ未来はなく、次に託せなかったのだ。

後は全て上杉謙信のお腹に可能性を賭けて。


「相手やばい!マスケット持った兵士おる!」

「兵士が蹂躙されてる!」

「まだ10分しか稼げてねえってのに!」

「不知火、特攻する?」

「いや、賭けに勝った!」


港の方から轟音がする……!

竜巻よりもやばいこの感覚……!

台風だ!超大型の!


「十六夜月から最後の命令を出す」

「台風に乗る?」

「違う、台風に乗じて逃げよ」

「十六夜月さんはどうするよ!?」

「あの台風は生贄がなければ治らない気がする、だから私一人で十分だ……武器はあも式バトルライフルにリボルバーがある。更にはインペリアルオルデンあるからどこ飛ばされたとて生きていけるやろ」

「……しゃーない、皆引き上げや」


そういって十六夜月以外の兵が乗り込んでいく、高句麗軍が着実に近づき台風も近づいていた。


「出航する!十六夜さんすまん!」


戦場には、十六夜月を慕う1万の兵士と29万の高句麗兵が残った。

台風が強くなり渦潮ができる、更には渦潮からは光を放つ!


「おいおい夢でもみてるのか?」


そう疑うのも仕方ないが実際には目の錯覚だったのかもしれない。

だが、十六夜月は今しかチャンスがないと考えてあの渦潮に飛び込むことを決意した!


「十六夜月と一緒に渦潮飛び込むバカおる?」


この発言に、9名ほど気が狂ったのか乗ってきた男女がいた。


「ではいくぞ!最後の兵は船を出したら飛び込むぞ!」


船が出たと同時に、10人は渦潮に飛び込んだ!


同時に渦潮は勢力を弱め15分後には消えたが台風はやばいほど強くなり高句麗に壊滅的被害をもたらしたとされる。


視点は現代に


「……これで天寿全うっておかしいよ!」

「明らか自己犠牲の撤退じゃん」

「……」

「しかし、今ある未来では勝ったのは我々です」

「これで、よかったの?」


緑魔キャロラインと甘乃あもこは悩んでいた。

十六夜月はこれでよかったのかと。


「その後弔い合戦になり、圧勝して高句麗は制圧しました……中国動乱では同じ現象がまだ起きて今度は十六夜月さんの娘が犠牲に……私達の血筋は、犠牲のもとに成り立ってるのです」

「逆に聞きたいけど、他の人たちは?」

「戦死に過労に暗殺などろくな死に方じゃないですよ?」

「キャロラインさん、あもこさん、自分ら戻ってきたんは正解だったかもしれん」

「それに……今なら十六夜月さんだけを助けることならできるかもしれませんよ?」

「「「え?」」」



こうして十六夜月の物語は終わるが、異世界に行きまた別世界を救うことになるのは……また別のお話。











はい、作者です。

次からは十六夜月達の息子娘に重点をあてた世代交代が始まります。

しかし十六夜月の異世界送りも書きたいため一旦このお話は終わりとさせていただきます

続きをお待ちいただけたら幸いです

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十六夜立志伝 現代歴史好きが安土桃山に飛ばされたら @izayoizuki

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