第2話 Station home~お久しぶり
「えー、今から新入生を紹介する!一人ずつ名前と身長、ポジションを言うように!」
入学してから二週間後、私は初めての高校部活動に参加した。一年生はざっと見て10名ほどでまあまあ多いんじゃないか、と思う。先輩方も人数的には紅白戦は交代を含めて余裕でできるだろう。そのぐらい、ゆとりのある人数だった。
私たち一年生は背の順で並んでいき背が小さい人から自己紹介をしていった。
「吉岡紅葉(くれは)、身長は170㎝でポジションはセンターをやっていましたが高校に入ったらフォワードをやっていきたいです!」
はきはきと話す彼女は同じく一年生で、私の次に身長が高い。
ショートカットで髪が若干、茶色く焦げており薄メイクをしているのか、顔が整っている印象。声の出し方も根っからの運動部なんだろうな、と一目でわかる。
「吉岡さん、足も速いようだしスタミナさえついていけばフォワードもいけるようになるよ。よし、最後!」
「雨野貴音です、身長は175㎝。ポジションは中学三年間、センターをやっていました。リバウンドが得意です。宜しくお願いします!」
「雨野さんは・・・一番大きいね!足の速さはセンターだし、そこまでつけなくてもいいかもね。とりあえず、ゴール下の技術を身に着けていこう!」
(大きいか、、、まぁバスケの世界では大きいほうがいいんだろうけどね)
自分が活躍できる世界にいたとしても、この言葉は私にとってあまり聞きたくない言葉でもある。少しだけ、胸に突っかかるものを抱きながら練習に参加した。
・・・・・・・・・・
「はい、集合!今日はお疲れ様!2年生は終わった後、各自モップ掛けね!一年生は今日は最初だし、ゆっくり家で休んでね。明日も部活あるから、しっかりケアしていくように!」
部長の号令と共に初めての部活は終わった。
(ふぅぅ…やっぱ中学の時とは全然違うわ、3年生の体力化け物過ぎでしょ)
走る系のダッシュ練習が終わり基礎的なドリブル練習に入りシュート練。その後は、1年生対2・3年生のミニゲームがおこなわれた。
一年生の中には、未経験もいたりして勝てるわけない試合ではあったが、先輩方はちゃんとレベルに合わせてマッチアップしてくれた。
(まぁ、終始優勢だったのは話すまでもない)
「お疲れー、雨野さんだっけ?初日なのにクタクタなんだけど、、、」
「お疲れ、私もだよ。中学に比べるとみんな体力ありすぎて終盤、合わせられなかったし。あ、貴音でいいよ。そっちの方が言われ慣れているし」
「ん、オッケー。じゃあ私の事は紅葉って呼んで。私もそっちの方がいいからさ!」
今日のミニゲームで孤軍奮闘の戦いをしていた吉岡紅葉。経験者で尚且つ、運動神経がいいからバンバン相手ゴールに向かっていっていたが、終盤は体力切れのせいかボールを持っても弾かれるケースが多かった。
「ほんと、1,2年違うだけでここまで苦戦するとは。私たちが三年生なった時にこんな感じになっていたりするのかな」
「どうだろう~、手を抜かずに練習をやっていけば大丈夫なんじゃない?」
「それもそうだね!よし、明日からも頑張ろう!」
校舎を出て正門まで向かう。生憎、彼女は自転車通学。私はバスか電車通学なのでここでお別れとなった。互いにチャットを開き連絡先を交換して帰路についていった。
・・・・・・・・・・
夕方の駅はどうしても混み合う。それが、乗り換えの多い駅なら尚更で私が乗るホームは、その混み合う方の電車が発着するホームだった。サラリーマンや私と同じ高校生などが入り乱れている。
「こんなに人が多いと自分の背の高さに有難さを覚えるわ・・・」
「へぇ~、そうなんだ!逆に背が低いとこの混雑は嫌になるもんだよ?」
急に話しかけられ後ろを振り向くが誰もいない。いや、私の視点が高いせいだろう。視線を少し低くし、あたりを見渡すとそこには入学式にぶつかったあの小さな先輩が立っていた
Tall girl record Rod-ルーズ @BFTsinon
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。Tall girl recordの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます