終わりを迎えて別れが来る。幾度となく見てきたものだ。この作品はそれを民謡のように、能楽の謡のように滑らかに表現している。先に何が起こるか、彼や彼女はどうなっていくか、深く考えたくなった。海鮮、しらす丼、光景も良く思い浮かび、今は海が見たい気分だ。
まずは一言。美渚ちゃん超かわいい。推せる。この作品、風景が頭に思い浮かぶのも魅力なのですが、何より「聴こえてくる」というのが最大の魅力だと私は思います。潮騒の音が「聴こえてくる」。少女の歌声が「聴こえてくる」。少女の胸に秘めた声が「聴こえてくる」。文字だけでここまで表現するのは見事の一言。また、読了後に広がる世界観に想いを馳せるのも楽しいです。青春の切なくも愛しい情動が、潮騒と少女の歌声に乗って聴こえてくる。おススメです。
高校を卒業し、上京を控えた伏見信弥(ふしみしんや)と、町に残る長岡美渚(ながおかみなぎ)。信弥の旅立ちを前に、二人は最後の放課後を過ごす。全体を通して、美しい情景描写にその場に入り込んでしまったかのような錯覚を覚えます。短編という短い文章の中にぎゅっと濃縮された瑞々しい恋のきらめき、そして切なさ。海水に溶けたのは、きっと言葉だけではないのでしょう。それでも、旅立ちの季節というのが終わりの後の始まりを予感させ、希望を持たせてくれます。夏の朝に読みたくなる作品です。
短編ながらオチに繋がる要素の散りばめ方と回収がお見事です海を感じる描写もいい
まず誰にも言えない恋というテーマに対して手話を持ってくる発想が凄い。更に潮の香りを感じさせる青い文章、夕暮れの淡い情景、切ないラストシーン、一つの映像作品を見終えたような満足感が5分で得られる素晴らしい作品です……海が好きな方もそうでない方も是非、ご一読あれ!
潮騒、海の香り、傾いた陽が瞼の裏に浮かぶような──そんな短編です。切なさと、甘酸っぱさと、不思議な余韻が残る、とても綺麗な作品でした。タイトルもとても美しいです。素敵な作品ありがとうございました!語彙が不足していますが、とても面白かったです。しらす丼が食べたくなりました。
どこかの海沿いの町を思い出す物語。卒業した二人は明日でお別れなのですが、想いを伝えることは出来るのでしょうか。潮の香りを楽しみながら結末をお楽しみください!
気の合う男女の他愛ない方言交じりの会話と海の町特有の風景描写が、ラストの切なさをより演出できていて凄く良かった。都会に出る主人公と地元に残るヒロインっていう設定はやっぱりいいよね。