第2話都会に生きると
日差しが恋しい。
窓を閉めないとプライバシーを確保できない。
部屋も窓も家の感覚も
すべてが近い。
密集しすぎだからこそストレスもたまる。
日差しをよけるから空気がよどむ。
皮膚が弱くなる。
進んだ科学ゆえに、食事さえも
添加物が多く含まれる。
人間はしょせん動物。
人工的なものに囲まれて悲鳴を上げるのは必定。
目も耳も肌も。
キレイを追い求めすぎた結果なのか、はたまたそういう因果を持った個体であるのか。
最近痛みがあると生きている実感をする。
まだあきらめていない、生きている細胞を感じている。
切りすぎた前髪や伸びた爪を眺めて早く伸びてほしいなと願う。昨日よりもほんの少し伸びた髪にうれしくなる。そうすればほんの少しだけ可愛くなれるしおしゃれもできる。
自分よ、もっと可愛くなれと言い聞かせる。
都会で生きようと田舎で生きようと自分は変わらない。
向上あれ。
美味しいものを食べようと思い立つ。
キレイを保とう。
あともう少しだけやりたいことをできる能力を伸ばしたい。貢献したい。あの人よりも、過去の自分よりも成長を感じられる自分でありたい。
かわりゆく日々に対応することも困難な時もあるけど楽しい時もある。
まだまだ自分は捨てたものではないはずだ。
鏡の前で着飾ろう。
もっと素敵な自分へ。
END
風だより、陽だまり 完 朝香るか @kouhi-sairin
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