4.from the shadow world

viper:


 僕たちは日本の自衛隊でもなければ、実はどこかの国家に所属しているわけでもなくなっている。原則として武力行使を行わないはずの、国連平和維持活動UN PKO: United Nations PeaceKeeping Operationsのための軍隊、平和維持軍PKF: PeaceKeeping Forceだったものだ。それが、対テロ作戦として攻撃を行い、必要な技術をつくりあげている。そして、光の世界の住人たちのための足場をつくりあげる。すなわち、決して表舞台には立たない、影の世界の住人だ。

 僕たちは、世界の安全保障において認められたものの、本来は存在してはならないものたちだ。この星では、安全保障のためならば、国家は、軍は、企業は、堂々と戦いを宣言し、必要であればその始末のために僕たち影の世界の住人には、無限に近しい資本を与えられてきた。国の支出の半分以上が軍事活動に利用される時代に移行したそのとき、世界には安全保障を隠れ蓑に、独裁者や民主社会を欺いた連中の手によって、誰が利用するかも定かではない武器という混沌カオスが、それを種に萌芽した犯罪の連鎖が、広がり続けていた。


 これから話す物語は、こうした影の世界で生きてきた僕たち。そしてそこに現れた、本当の天使、ミシェル、そしてそのどちらの道を志したリーナ、アンジェリーナとの物語だ。


 いま、本当の富をつくりだす光の世界。その多くの方々にとって、ミシェルとリーナは大きな疑問だったはずだ。だからそれに答えるため、僕はこの影の世界での記録を綴ることにした。彼女たちの自己犠牲と切り離すことのできない、僕らの、僕のしてきた教え子を兵器へと変える教育や罪を、語ると共に。


 彼女たちこそが、いま我々の必要とする希望だった。

 人類に光(lux)をもたらす、天使達だった。

 

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lux 倉部改作 @kurabe1224

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