3.angel of steel

viper:


 黄昏時の、青い光の届かない空。そこに広がる、荒涼とした砂漠。

 まるで写真でしかみたことのない、別の星だ。遠近感が失われていて、どこまで進んでも終わりは見えない。僅かに感じる振動だけが、自分が空を飛び続けていることを思い出させてくれた。この空気の海の底、地上へ沈まないように、この数十トンの鋼鉄の翼は放たれる銃弾以上の速度で、空気を無理やり圧縮しつつ燃やしている。おまけに今はアフターバーナーという炎も背負っていた。

 僕の周囲には、たいていの生物の生存を許さないその空から守るあらゆる防壁が、一人前だけ準備されている。座ること以外を許さないほどの狭さの操縦室コクピット。広い空の視界はくれるが結局狭さを感じさせる天蓋キャノピー。そこに投影されるが赤い光に遮られ何が書いてあるか定かではなくなりかけている前方のHUD: Head Up Display.そして山のように取り付けられた小型ディスプレイと制御用のボタンたち。すべては翼の代わりに前足を選んだ哺乳類、特に前足の代わりに手を選んだ人類を無理やり空に飛ばすために必要な感覚センスたちだ。人間の視覚を過信し、どうにか視界に押し込もうとした成れの果て。人はそれをグラフィックデザインだのユーザーエクスペリエンスだのともてはやし、そのコンピュータ・ソフトウェアに使われてきた情熱は、この鋼鉄の鳥にふんだんに輸入してあった。

 鋼鉄の鳥はこうした作り手の人間の認識不可能な知覚を提供こそするが、まだそれらの情報を意味ある形で利用することは空の上を同じ速度で飛ぶこと以外ほぼできない。だから人語と空気(たいてい社会と呼ばれるあれだ)と多少の論理を解釈する処理装置、つまり作り手である人間をこの無茶な機械に押し込むしかない。いまだに。それが羨望の眼差しを受ける僕のような人間、戦闘機パイロットと呼ばれるものの正体だ。しょせん戦闘機パイロットは鋼鉄の鳥の一部でしかなく、ただ地上の人間を、空飛ぶ同類を、脅し、殺すことを意図する戦闘というプロセスのなかの一通りでしかない。

 そうして空にしがみつく醜い僕たちを、ルクスという名を手にした彼女はこう言った。

リーナ「天使……」

 あの羨望の眼差しに、僕たちは応えられるのだろうか。

リーナ「私は、この祖国を救う悪魔、大統領になる」

 そう語る彼女の、先生となれるのだろうか。

 その狭苦しい鳥の体内で、僕は作戦中の全員に伝えるように、通信を行う。

先生「光を抱く未来の教え子に、まもなく合流する」

 その通信に、返答がくる。

亜紀『ずいぶん入れ込んでるね、ヴァイパー』

 僕はため息をつく。

先生「あんな子は初めてでね、亜紀」



president:


 私は作戦をヨーロッパのある空軍基地から地図上のアイコンたちを見ながら告げた。

亜紀「もうすぐあんたが護衛するヘリたちを捉えられるはず」

先生『確認した、あの三機だね』

亜紀「そう。到着先ではすでに協力者が作戦を開始している。今回の任務は、機密を確保した彼女を逃すこと」

 戦闘機パイロットの環は言葉を引き継ぐ。

先生『そしてかつて戦争を巻き起こした元支配者達の逃げ込んだソビエトのロスアラモスを利用不可能にすること。再度確認だけど、本当にレーダーと送電線への爆撃だけでいいの?』

亜紀「奴らには再度建設を行うだけの権力は残されていない。それと、メイスンたちがすでに時限式に原子力発電所を利用不可能にする不具合を起こして利用不可能にしている。それで十分」

先生『中にいる犯罪政権は?』

 私は届いた画像を確認して答える。

亜紀「いま処理を進めてる、大臣で最後」




lux:


 私はだれもいない広い回廊で背を向ける敵へと、銃を向けた。

リーナ「動かないで」

 敵は背を向けたまま、ゆっくりと手をあげる。

元議員「私を殺しても、他がいるぞ」

リーナ「全員殺した」

 敵は鼻で笑う。

元議員「そうか。お前がオリガルヒの選んだ、新たな大統領候補か。かつての彼のような」

 敵は言った。

元議員「お前たち弱者の希望が、ロシアを殺すだろう」

 私は答える。

リーナ「ええ。そんな強がりは、私が終わらせる」

 私は引き金を引き続ける。敵は倒れていった。


 スマートフォンで写真を撮り、それを送る。豪奢で天井の高い巨大な地下通路で転がった死体を見下ろす。そしてつぶやいた。

リーナ「私はきっと、地獄に落ちるんだろうね……」

 私は震える手でその死体をひきずり、近くの扉を開く。入り込んだその地下通路はすぐさま天井が低くなり、装飾を剥がされ、時代に合わせた無機質な白いLEDライトが本来の姿を晒し上げていた。扉を閉め、鍵やつっかえの代わりにその権力者を扉の前に置く。そしてその死体の服から鍵を取り出す。

 私はそうして走り出す。

 足を取られないように進んでいくと、やがて巨大な窓が見えた、そこを見つめると、その先は体育館のように広く、その中心には円柱のように何かが覆い隠されている。発電部分のタービンだ。その時、警報が鳴り響く。私はためいきをついた。

リーナ「早く行かなくちゃ」

 私は鍵を見つめる。それが開けるものが、私が求められた真の目標だった。




meg:


 夕日の沈みゆく砂漠を進む輸送ヘリ。その窓から、戦闘機が一瞬だけ見えた。一緒に乗っていた特殊部隊の隊長が訊ねてくる。

隊長「メグ、あれはF-35か、なんでステルス機がこの作戦に?」

 メグと呼ばれた俺はそいつへと振り返る。

巡「めぐりな、まあいいか、あとただの戦闘機と一緒にしないでくれよ」

 その隊長は驚きながら俺に訊ねてくる。

隊長「じゃああれはいったいなんだ。ジェットエンジンはひとつのようだが」

 俺は自信たっぷりに答えた。

巡「俺たちが人工衛星発射のために設計し直した航空機、F35Dだよ」

 その隊長は過ぎ去っていく戦闘機を呆然と見つめながら言った。

隊長「あれが、例の国連の人工衛星発射システムというのか。治安維持の名目でこういう対テロ特殊作戦をするだけで飽き足らず、航空機開発もするのか」

巡「ああ、この作戦はそのついでだよ。だからいまは運んでいるのは人工衛星用ロケットじゃなくて、主にF-35で扱う爆撃用ミサイルだ」

 ふと新たな轟音が聞こえた。特殊部隊の隊長はふたたび窓の外をみつめる。

隊長「さっきの戦闘機か、しかしなぜあえてF-35もどきなんかを……」

 その戦闘機が再び前に進み出すのをみるなかで、俺はため息をついた。

巡「大事なのはそこじゃねえ、ロボットものなら大事なんだがな」

 隊長は首を傾げて振り返ってくる。だから俺は頭を指差す。

巡「システムとしての繰り返しの設計デザインの発想、いわばシステムのDNAさ。F-16からF-2にしたのと同じやりかただ。完成結果が同じだったとしても、安全保障には無力になってしまった条約や協定を定義し直して、可能な限りオープンな開発体制に切り替えて、新たな目標を立てれば、同じ見た目でも安くて、使いやすい代物が簡単にできる。おかげでコストは数分の一、実現可能な構想の数は数十倍。他のF-35ファミリーの改良とコスト削減の役にも立った」

 そこで隊長が笑った。

隊長「なるほど、つまらん車づくりがうまいわけだな、日本人」

 俺も皮肉たっぷりに応じる。

巡「自分たちの雇用と保険のために車をつくりだしたら終わりなのさ、コンピュータで学ばなかったのか?」

 その時無線で連絡が入る。我らが社長プレジデントからだ。

亜紀『めぐり、間もなく作戦区域に入るけどまずいことになった。奴ら戦闘機をそっちに飛ばしてきてる』

 俺は舌打ちした。

巡「思ったより俺たちに気づくのが早いな、戦闘機は?」

亜紀『交戦開始エンゲージした』

巡「それで対象パッケージは出てきたか」

亜紀「あと少しみたい」



lux:


 私はメッセージを送り、扉の鍵を開けて、そのサーバールームのような部屋に置かれていたLANケーブルの無理やり刺さったノートPCを開く。私はつぶやく。

リーナ「必要なものは全部入ってる。彼らの手元には何も残らない」

 私はそのLANケーブルを抜き、ポケットからバックを取り出し、その中にPCを詰める。そしてバックを背負う。そしてメッセージを送りながら立ち上がった。

リーナ「急いで出なきゃ」

 私はその部屋から飛び出す。しかしそこには走って避難誘導している兵士たちがいた。彼女が訊ねてくる。

兵士「どうしたのリーナ、避難場所はこっちだよ」

 私は罪悪感を感じながら、走って通り過ぎる。そして言った。

リーナ「ごめん、契約したの!」

 そして走って通り過ぎる。ふと振り返ると彼女は呆然と私をみつめていた。だから私は前に進み続ける。そして呟いた。

リーナ「ごめんね、みんな」



meg:


 輸送ヘリのなかで、亜紀から再び連絡が入ってくる。

亜紀『前方で戦闘機同士が戦っているけど、救助対象が避難を開始した、このままいけば合流できる』

 ある聞きなれないジェットエンジン音を聞きながら、俺は皮肉まじりに答えた。

巡「ああ、俺たちが死ななけりゃな」

 その時何かが輸送ヘリの横を通り過ぎる。特殊部隊の隊長は舌打ちする。

隊長「敵の戦闘機は二機以上いたか。どれだけ備蓄があるんだ連中は」

 俺も窓の外から見つめる。その戦闘機の後方には自分達の作り直したF-35Dは見当たらない。

巡「ちくしょう、輸送ヘリなんかいい的だぜ……」

 豆粒同然にしか見えない戦闘機が、こちらへと近づいてくる。俺は叫ぶ。

巡「ミサイルがくる!フレアの準備をしろ!」

 その時、どこからか何かの飛翔音が響く。しかし敵の戦闘機からは何かがやってきそうになかった。周囲を見渡していた時、その戦闘機は突如として速度を上げ、旋回を開始するが、瞬く間に何かがその後ろを追随し、衝突し、爆発した。敵の戦闘機は爆炎と共に落下していく。そして輸送ヘリの横を戦闘機が通り過ぎていく。通信が入る。

先生『すまない、囮に使わせてもらった』

 俺は笑って通信に応じる。

巡「覚えとけよ、ヴァイパー先生」

 その戦闘機はアフターバーナーを燃やして爆音とともに通り過ぎていく。特殊部隊の隊長は呆然とつぶやく。

隊長「こちらにも二機いたわけか……」

 彼に告げる。

巡「驚いている場合じゃねえぞ、もうすぐ着陸だ!」

 彼は我にかえり、周囲に命令を始める。俺も周囲の同僚たちに告げる。

巡「準備できたか!」

 同僚の男女たちは頷く。

 そして輸送ヘリは元空軍基地へ到達する。特殊部隊の連中が先に飛び出す。そして俺たちも飛び出し、目標の基地へとまっすぐ走っていく。敵の銃撃に応戦しながら。俺は走りながら悪態をつく。

巡「くそっ、原子力にかまけてねえでもっと郊外まで地下を掘ってくれよ、敵さんよ!」

 そして建物の壁に張り付き、特殊部隊と共に銃撃を開始する。




lux:


 私は地下を走り抜け、古びた階段を駆け上がっていく。上を見てもどこまで繋がっているかわからない。私はその階段を睨み付ける。

リーナ「原子力発電所を地下に埋めなければ、こんなことには……」

 けれどその階段を走って駆け上がっていく。その窓の先には、原子力発電所の一部、熱い熱を循環させるパイプたちが走っていた。これが先ほどの発電所のタービンと繋がる。ここにきた時、メイスンからそう教わったことを思い出す。私はそれらを尻目に、地獄から抜け出すためのきざばしを駆け上がっていく。

 そのときふと思い出す。

 メイスンは言った。

メイスン「まだ、翼がないからさ」

 あの時彼は遠くを見つめていた。人が何かを思い出すときのしぐさ。その時彼が見つめていたのは、なんだったんだろう。

 訓練の成果で、私は息を切らすことなく階段を登り切った。そして扉を開ける。真っ赤な光が私を迎えた。そして轟音や銃声も。だから私はすぐさま隠れる。そして遠くを見つめる。

 その視線の先、この国の兵士の服装ではない誰かが私に気づく。そして私のところに三人走ってくる。そして滑り込んできて、そのうちのひとりが私に訊ねた。

巡「プロメテウスの火は?」

 私はすぐさまバックを開け、PCのパスワードを解除し、彼へ見せる。彼はその中身を確認する。そして頷いた。そしてどこかに通信を始めた。

巡「亜紀社長、対象パッケージと合流、本物だ、メッセージを送ってやれ」

 すると私のスマートフォンにメッセージが来る。そこにはこう書かれていた。

亜紀「お疲れ様、彼と、巡たちと一緒に撤退して」

 私は彼へ頷く。

リーナ「よろしく、巡」

 彼は頷き、微笑んだ。

巡「全く、君みたいな子が大統領候補か。信じられん時代だ」

 その時、どこかで爆発が起きる。彼がすぐさまどこかに通信を始める。

巡「天使ども、これから離脱する。援護してくれ」

 そして彼はバックの中にPCを詰め、背負い、立ち上がる。

巡「PCはまかせろ、銃はあるか?」

 私は頷き、装備していた銃を引き抜く。彼は頷いた。

巡「結構。あの輸送ヘリのところまで走るぞ」

 そして四人で真っ赤な空の下へと飛び出す。銃撃は続いている。巡が銃撃をしながら、私をかばうように走っている。

巡「行け!俺たちの方が装備は揃ってる!」

 私は頷き、走り続ける。他にも見慣れない服装の兵士の人たちがいた。彼らは西側の兵士なんだろう、とそう気づく。だからだろうか、敵の銃撃も思っていたよりも少なかった。

 私たちは輸送ヘリに走って乗り込む。しんがりを務めていた巡も辿り着き、ヘリの中へ叫ぶ。

巡「離陸しろ!」

 私の視界は一瞬にして浮き上がる。そして開かれたままの扉から、空がどんどん遠くへ離れていくのが見えた。私はほっとため息をつく。けれど、周囲は固まっていた。その視線の先をみて、驚いていた。わたしたちの軍の戦闘機が、太陽を背負ってこちらに向かって駆けてくる。そして、何かが放たれた。巡は叫ぶ。

巡「ミサイルだ、フレアを焚け!」

 周囲が光り輝く。ミサイルはどこかへ向かって消えていった。しかし、戦闘機はずっと私たちに張り付いたままだった。

 誰かが答えてくる。

パイロット「だめだ、次も避けられるかわからない!」

 誰もが目を逸らし、伏せていた。でも私は釘付けだった。その戦闘機の先で、何かの音が聞こえた。そして、戦闘機は爆発する。その爆風の横を、一つの戦闘機が通り過ぎていく。私は近くの窓へ駆け寄り、その機体を見つめる。それは、いつも動画でみてきた、空を音速で泳ぐ鯨類。その体は、今は夕焼けの光を吸い込み、輝いていた。呆然と私は言っていた。

リーナ「翼……」

 巡が窓へ寄ってきて答えた。

巡「そうだ。あれが、我らが天使ども。必要なら俺たちも囮にする、ヴァイパー、そしてミシェルだよ」

リーナ「怪我、治っていたの……それに、戦闘機に乗るなんて……」

巡「なんでも、あんたに貸しがあるって言ってたな」

 私は振り返る。

リーナ「ここには戦闘機は二機いたはず」

巡「そのふたつを、あいつらがやっちまったのさ。あいつらはどうも、囮を使うと隠れんぼが上手になるらしい」

 そして巡は私にスマートフォンを差し出してくる。私は受け取り、そして耳に当て、言った。

リーナ「ミシェル、ありがとう」

ミシェル『こちらこそ、祖国の仇をとってくれてありがとう、光を抱くひと……ルクス』

 私が驚いていると、ミシェルはさらに言った。

ミシェル『けれど、あなたにはまたひどいものを見せることになる』

 その機体は翻り、元空軍基地へと向かっていく。その先には、もう一機の戦闘機がいた。ヴァイパーだろう。そして彼らは、爆弾を投下していく。基地の送電線は破壊されていく。レーダーも含めた通信施設もまた、破壊が繰り返される。ソビエトのロスアラモスが、機能を失っていく。旧約聖書の中に綴られた、無慈悲な天罰のように。

 私の同胞たちを思い出す。

 彼らはもう、地上に出ることはできないだろう。

 私は歯を食いしばる。拳を握りしめる。そのなかで通信越しにミシェルは言った。

ミシェル『あなたのせいじゃないよ、リーナ』

 私は呆然としていた。

リーナ「どうして、そのことを」

ミシェル『旧政権に従うしかなかった彼らを傷つけているのは、私たち。だからあなた自身を責める必要なんか、ない』

 まるで心を見透かされているかのようだった。やがて彼女はこう言った。

ミシェル『それでも何かを恨みたいのなら、運命に従うばかりだった私が引き受ける。あなたに救ってもらった命で、その願いで、私はもう一度、なりたい自分になる道に戻った』

 呆然としながら、その真っ赤な夕日で燃え盛る六枚の鋼鉄の翼が全てを燃やし尽くす様を見つめる。

 あれが、私の悪魔メフィストが見つめていた先なのだろうか。

 無慈悲な神から与え給うたかの如き力。その神からは明らかに相反する、人間への優しさ。

 母が、なぜ戦闘機をああ呼んでいたのか、いまようやく理解が追いついた。

 呆然と、私は呟いていた。

リーナ「天使……」

 彼女は驚いていたようだった。

 そのなかで輸送ヘリはゆっくりと扉を閉じていく。天使が言った。

ミシェル『その、一旦ここの近くで落ち着いてから、私たちの拠点でもある日本へと帰還する。あなたには、国連高専大で第二の人生が待っている。本当になりたいものをみつめなおすのには、きっとちょうどいいと思う』

リーナ「わかった」

 そして私はスマートフォンを耳から離した。

 轟音と共に、その天使達は飛び去っていく。私は遠く離れていく、その六枚の翼を持つ戦闘機たちを見つめていた。




viper:


 狭い操縦席コックピットのなか、機体を旋回させて元空軍基地をみつめる。すべての攻撃箇所の破壊は完了していた。社長に連絡を入れる。

先生「作戦は完了した。RTB: Return To Base」

 社長は笑いかけてくる。

亜紀『お疲れ様。我らが天使様。翼が六枚だし、熾天使ってとこ?」

 僕はためいきをつく。

先生「天使と言われたのはミシェルのほうだよ」

亜紀「でもその飛行機の尾翼のマークにもぴったりじゃない。毒蛇ヴァイパーのコールサインも、ミシェルみたいに天使に変えたら?』

 僕はため息をつく。

先生「僕はそんなのにはなれない。毒蛇の系譜、その継承者でしかない」

 そうして僕は交信を終了し、真っ赤に燃え盛る夕焼けの空を見つめる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る