第147話 一斉攻撃
黒炎による治癒に専念している
その治癒を少しでも遅らせ、力を弱らせようと水魔法を使っても、メイスの拘束魔法が解かれた今ではその効果は微々たるものだ。
早めに勝負をかけなければ、、。切り札を
そんな中、消耗しながらもマナポーションを飲んで僅かばかり回復したメイスが、俺の下に近づいてきた。
「さっきの拘束魔法、もう一回いけますか?」
「無茶を言う、、。……殲滅魔法と違い、発動よりも持続にMPを消費するスキルだからな、やれて後10秒だ。何か当てはあるのか?」
「わかりました。合図を送るのでいつでも使えるように準備をしておいてください。俺は奴を挑発してきます。」
俺にも余裕がない、メイス相手であろうと大雑把の説明で済ますと、そのまま
「おいっ!俺こそがお前の主であるメデスのターゲットなんだが。俺から倒さなくて本当にいいのか?少女の飼い犬さんよっ!」
ここまでの戦いで
俺はまだコイツの前で目立った活躍はしていなかったからな、ここは口撃といこう。
「ふん、見え透いた挑発だな。だが、お前だけは死体を持っていけば主がお喜びになるだろう。
一思いに潰されないのだから、苦しむことになるぞっ、招かれた者。」
一旦黒炎による治癒を中止して、俺に牙を振るう
巨体の割にスピードもあるが、その分猛烈な風圧が間に発生し、高レベルの「合気道」を駆使して牙を躱していく。
俺も何とか「飛行魔法」にも慣れてきており、強い風圧を凌ぐので精一杯とはいえ、何とか直撃は避けていた。
直接攻撃で俺を仕留めたいようだが、ラディッツオの攻撃がまだ効いているのか精度は悪くなっているのも一人で粘れていた要因だろう。
それでも一振りの牙を躱すだけでもとんでもない風圧で飛ばされて体力を奪われていく。このままでは一分も持たないだろう。だが、ここで―
「
『チッ、小賢しいわっ!』
その正体は―
「ウオオオー、兄貴達が戦っているんだ。俺達も続くぞーっ!!」
元盗賊の馬鹿みたいな怒声、それだけじゃない、対ドラゴンの迎撃用に残していた信徒達も含む街の戦闘職の人間達だ。
本来の作戦ではドラゴンの集団と接敵したとき、殲滅魔法から仕掛けて弱った龍神を確実に仕留めにいき、残ったドラゴンは例え逃しても街に残した戦力で迎撃する二段構えを考えていた。
しかし、
それでもメイスの拘束魔法が通じて苦しむ
その姿をララが見つけたことで奇襲になるタイミングを計っていたわけだ。
「今だ、メイス!街の皆も一斉攻撃だ!!」
「ああ、わかっている。
対ドラゴンを想定した武器を用意していたとはいえ、先程のジョブレベル4程度の弓攻撃では黒炎がほぼなくなった
しかし、再びメイスの切り札による神性特攻が働き、総勢50名ほどの集中攻撃ともなれば話は別だ。
俺とエレイシアも追撃の準備に入る。
「「「ウオオオーー!!」」」
弓、投槍と遠距離のジョブスキルが決まると次いで近接のジョブスキルもこの怪物に決まりだす。
「
新たなジョブスキルを獲得したのはメイスだけではない。
高レベルの魔物を倒すことで急成長していた「暗殺者」のユキも準備期間の間にジョブレベル3にまで達し、暗殺者の攻撃スキル、バックスタブを習得していた。
背面への攻撃で効果を最大限に発揮する暗殺者ならではの攻撃スキルが一斉攻撃で集中していた
「「三日月刃!!」」
次いでタイミングを合わせた俺とエレイシアのジョブスキルで首を落としにかかる。
クソっ、ここまでやっても半分しか到達しない。
仕方がないので最後はウチのエースアタッカーに任せるとしよう。
「もう持たないっ!、これで決めろよラディッツオ!!」
「ああ、じゃあな、龍神さんよ。
ララの回復魔法とマナポーションを二本、カブ飲みするとメイスの無茶に応えるように最後の大技を決めるラディッツオ。
「GRAAAaaaa!!」 ズドオオオン
落ちかけていた首筋から先程の頭頂部への傷へ向けてオリハルコンの槍が突き刺さり、ようやっと断末魔を上げる
地上30mから巨体な首級が地面へと落ちる。
「「「ウオオオー!!ヤッター!!」」」
「ハア、ハア、終わったか。」
街の住民の歓声が響き、対して俺はパーティーメンバーは数日前からの連戦と行軍による疲弊でろくに声も出なくなっていた。
メイスとラディッツオももう限界だ。最大レベルのジョブスキルの連発は無茶が過ぎる。
それでも、成し遂げた功績はあまりにも大きい。
これで完全勝利と思いたいが、何か忘れてはいないだろうか?
―周りの人間を見渡すとエレイシアが遠くを見つめていた。
転生社畜、転生先でも社畜ジョブ「書記」でブラック労働し早20年。前人未到のジョブレベルカンストからの大覚醒成り上がり! @nineyu
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