第146話 最後の希望
「
メイスの新スキル、神性属性に強力な力を発揮する巨大な鎖を出現させる『魔法使い』の拘束魔法が慢心していた
これこそがメイスの賭けの正体、秘中の秘だ。
こんな重大な場面で間に合わせるとは役者が違うぜ。
俺からの『錬金術師』の仕事を断ってまで最優先させたジョブレベル9の獲得だ。成果を出してもらわなければ困る。
「GRAAAaaar!!小癪な真似を!この程度でいつまでも抑えられると思うなよっ!!」
「時間はないぞっ、ラディッツオ、ユキ、頼む。他の皆もだっ!!」
抵抗を試みる
神性の力を押さえつけられても龍としての巨体と力がまだ残っている。実体のない鎖を藻搔きながら脱出しようと暴れ出す。
続いてメイスの声が聞こえる。これほどの怪物にも通じる大技だ。持続時間は大したものではないのだろう、必死の言葉に反対側で合流していたラディッツオとユキが応える。
「
「
ユキがまず水魔法を試す。神性が抑えられた今ならあの黒炎にも有効な可能性がある、いい判断だ。
対して、ラディッツオはいきなり大技だ。時間がない中、有効打になりえるこの技だけは決めておきたい。
「俺達も続くぞっ!
「はいっ。」
俺と次いでララも急いで距離を詰めて範囲水魔法の援護だ。エレイシアは決定打を求めてそのまま
俺達との合流より
「GRAAAaaar!!」
「ぬおおおぉぉーーっっ!!」
遂に念話ではなく雄叫びが洩れる
水魔法も多少は効果が見て取れる。
そんな中、弾き飛ばされたラディッツオとエレイシアが交錯する。しかし、
「俺には構うなっ、決めちまえっ!!」
「わかっているっ!!」
王都でエレイシアがラディッツオをぶっ飛ばしたときとは全くの逆の構図だが、今は信頼関係が見て取れる。
「GRAAAaaar!!舐めるなーっっ!!」
しかし、ここでメイスによる拘束魔法が解かれてしまう。予期せぬタイミングで正面から向かい合う
「エレイシアっっ!!」
俺の横からララの悲痛な叫び声が聞こえる。確かにこれはマズイ。
いかにここまで強くなったエレイシアでも、一撃をまともに食らえば、それが通常攻撃でも致命傷になりかねないっ!
「逃げろっ!!俺も行く。」
剣を片手に俺も突っ込みながら叫ぶ。
まだエレイシアはジョブスキルのモーションには入っていない。一旦、体制を立て直してからだ――
そう思った所でエレイシアが思わぬ行動に出た。
「ハアアアァァッッ!!回転切りっ!!」
そのまま
エレイシアの思わぬ行動に
大剣はというと先程の大技の影響で覆っていた黒炎がなくなり、見た目も随分と小さく(とはいえ、人間の十倍の大きさはある)なっていたので、エレイシアの一撃でも十分通じて街の反対方向へと飛ばされていった。
最初からそのつもりだったのかはわからないが、いずれにせよ、悪くない選択だ。
あの大剣さえなければまだ戦いになりそうだ。
「………、
足蹴にしたわけではないが
言い方を見てもあの大剣は
恨み節を口にした後、先程の攻撃で半分ほどになっていた黒炎をラディッツオの攻撃とメイスの鎖の跡に集中させていく。
どうやら、あの黒炎には本人の傷を癒す力もあるようだ。
黙ってさせてやるものかっ。
消耗が激しいメイスと直撃を受けたラディッツオを除いたメンバーが動き出す。
が、俺達の魔法攻撃では消耗はさせられてもダメージは負わせられない。俺とエレイシアは近づいて剣撃を加えようとしても既に正面から見据えられており、その巨躯で叩き潰されてしまうだろう。
力の大半を失っていても他のドラゴンたちとは基礎ステータスでも桁違いの強さがあるのだ。
このまま傷を塞がれては、ただ物理的に暴れられるだけでこちらが壊滅してしまう。
あと一歩のところまできながら諦められるかっ、
水魔法を繰り出しながら突破口を探していると
「タナカさん、あれはっ!!」
俺とは違う目線で戦況を見ていたララが何かに気づく。釣られて俺もそれを確認し、――。
「イケるぞっ!ララはラディッツオを叩き起きして無理にでも戦線に復帰させてくれっ。総攻撃といくぞっ。」
―この戦い、最後の希望を見出して、龍神との最終バトルに挑む。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます