現実との飛距離が心地よいファンタジー

 ラジオの天気予報に耳を傾けながら、空から降る「何か」を待つ、とある少年のお話。

 ごく断片的なワンシーンながらも、その幻想的な光景が印象深いファンタジー作品です。
 童話っぽいお話、というと少しニュアンスが違うのですけれど、でも脳内に想起される絵面がもう完全に絵本のそれ。
 とにかく綺麗で幻想的で……。この現実からの距離というか、「架空の世界ならでは」と感じさせてくれるところがとても好きです。
 ファンタジー作品に少なからず求めちゃう〝何か〟。

 冒頭からさまざまなファンタジーらしい設定が登場し、すぐにその世界に浸らせてくれるところも素敵。
 これらの「現実にない用語」の畳み掛ける感じに、駆ける少年(主人公)の姿も合わさって、とにかく軽快な心地よさを与えてくれる作品でした。