第6話 神官、町の防衛をする
朝になり、だんだんと目が覚めるものがでてきた。
「ふあああ…もう朝かぁ…あれ?ロイスは?」
「ああ、もう起きてる。外で修行するっていってたぞ」
「そうなのか?ちょっと見てみるか…」
ロイスは座禅を組み、瞑想していた。
「なにやってんだロイス?」(あれって修行か?寝てるだけじゃね?)
「……」
「おーい、聞いてるか?」
「……ん?ウェイドさん、起きたんですね。」
「ああ。ところでお前はなにを?」
「これですか?瞑想をしているんですよ。」
「瞑想?」
「はい。瞑想というと、心を無にしたり、何かを一心不乱に考えたりとかを想像しますよね。私は、瞑想ではイメージトレーニングなどをしています。」
「それって具体的にはどんなことをしてんの?」
「例えば、さっきまでは私の武術の師匠を相手にしていました。まあ、実際に試合したときやイメージトレーニングでも勝てたことは一度もないですがね…」
「マジで?ロイスよりも師匠って強いの?」
「はい、強さは今まで出会った人の中では一番ですね。」
「それって、俺も修行させてもらえたりする?」
「んー…どうでしょう?師匠は気まぐれですからね…ここ数十年は私以外の弟子をとっていないらしいので…」
「数十年?師匠って何歳くらいなんだ?」
「私も師匠の年齢は詳しく知らないのですが、昔聞いたときは、300歳くらいから数えていないといってましたね…」
「300!?その師匠って人間か?」
「師匠はただの人間といっていました。ですが、正直私も人間じゃないだろうとは思っていますが…」
「300歳以上も…って、そういえば師匠ってまだ生きてるのか?」
「失礼なことをいわないでください…今もピンピンしてますよ。」
「ああ、わりいわりい…そういえば、今日はどうするんだろうな」
「町のことですか?」
「ああ。瓦礫の撤去とかはしたから、あとは建物を建て直したりとかか?」
ロイスとウェイドがしばらく話していたうちに、町の住人や冒険者達は全員目覚めたようだ。
冒険者ギルドの職員が今日からの予定を話し始めた。
「冒険者の皆さんは、結界結晶を王都から取り寄せるまでこの町の防衛をしてください。」
「なあ、職員さん。その結晶はどのくらいでくるんだ?」
「5日間ほどで到着するそうです。」
「5日間か…またオークジェネラルみたいなヤバいやつがでてきたりとかしないよな?」
「ウェイドさん…そういったことをいうと本当に出てきますよ。」
「まあ…また出てきたらロイスに頼むわ」
「…次出てきたらウェイドさんも救済してみますか?」
「んー…丁重にお断りする!あれに挑むのは命がいくつあってもたりねえよ…」
「でも危なくなったら私が回復しますよ?」
「まあ、それでもやめとくわ…命だいじにってことで」
「そうですか」
「町の住民の皆さん、特に建設関連の職の方は、家屋の建設を頼みます」
「「「はい、わかりました」」」
そうして、ロイス達は町の防衛、住民達は家屋の建設を始めた。
「防衛っていってもよ、別に魔物来なければ暇だよな…」
「まあ、こなければ一番ですがね」
だが、早速ゴブリンの大群が押し寄せてくる。
「おいおい!もう来やがったぞ!」
「救済!」
ロイスは一目散にゴブリンの大群に飛び込む。
「救済救済救済!」
ロイスは一体一体のゴブリンを木っ端微塵にするが、キリがない。
「んー…ウェイドさん!あのゴブリン、多分ゴブリンのリーダーですのであれをひとまず救済します!ウェイドさんはそのあと一気にゴブリン達を!」
「ああ、わかった!」
ロイスの救済拳などは、威力は凄まじいが範囲はあまり広くないため、集団戦にはあまり向かない。
ロイスは的確にゴブリン達の隙間をくぐり抜けながら、ゴブリンのリーダーの元へゆく。
「ハア!救 済 拳!!」
ゴブリンのリーダーは木っ端微塵になった。
「ウェイドさん!残ったゴブリンをお願いします!」
「ああ、任せろ!」
そう言って、ウェイドは槍を両手で回しながら槍に魔力を集中させる。
「オラアア!!螺 旋 槍!!!!」
ウェイドがそう言って槍を頭上に掲げた瞬間、周りのゴブリン達はウェイドの槍に吸い込まれるように引き寄せられる。
「ハアアアア!!!」
ウェイドは、ゴブリンの集まったその螺旋を一気に地面に叩きつけ、ゴブリンの大群をほとんど片付けた。
「ふう…久しぶりにスカッとしたな」
「ウェイドさんの螺旋槍、やっぱり凄まじいですね…」
「まあ、まだ親父ほどじゃねえけどな…まだ残ってるやつもいるし…とりあえず残ってるやつみんなで片付けるか!」
「「「ウェイドさんカッケー!」」」
40秒ほどですべてのゴブリンを討伐した。
「ふう…とりあえずゴブリン達はすべて救済できたようですね」
「ああ…さすがにしばらくこないよな?」
「……あれ、コカトリスじゃないですか?」
「おい、マジかよ…もう来るのか?しかもコカトリスって…空飛んでっからやりずれーんだよなあ…」
「それなら、私が救済しましょうか?」
「?お前空飛んでるやつ相手に出来んの?」
「はい、最近編み出した技があるのでやってみます。」
そう言って、ロイスは拳に魔力を集中させる。
「救済拳・飛!!」
そう言ってロイスが拳を振りかぶる。ロイスの拳から衝撃波のようなものがコカトリスに向かって飛んでいく。
「グエエエエエエ!!!」
コカトリスの翼に衝撃波があたって、コカトリスが落ちてきた。
「マジか…ロイス、俺はお前が恐ろしく感じるよ」
「いえ…まだ威力は要改善です。現にコカトリスはあまりダメージを負ってないようなので…とどめの救済をしてきますね」
「あ、ああ頼んだ…」
ロイスはコカトリスの元へ行き、とどめをさす。
「救済拳!」
「グエエエエ!!!」
コカトリスが木っ端微塵になる。
「…こいつの師匠が人間じゃないだろっては思ったけど…こいつも大概だな…」
「何か言いました?ウェイド」
「いや、やっぱりお前は強いなあってだけ」
「まあ否定はしませんよ。」
こうして、町の防衛と家屋などの建設をして5日が経ち、この町に結界結晶が届いた。
殴り神官の救済録~魔物を生から救済す~ 無名の防人 @sakimori00
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