第5話 神官、瓦礫を撤去する
ロイスはウェイド達の元についた。
「ん、ロイス?もう怪我人の治療はおわったのか?」
「はい、想定よりは少なかったので」
「そうか…じゃあ早速だが、あっちの瓦礫を頼む。」
「はい…そういえば魔道具店は大丈夫でしたか?」
「確か…魔道具店は少し小火騒ぎがあったくらいで、壁がちょっと黒くなったくらいで済んでるらしい」
「よかった…魔道具店が無事で…」
「確かロイスって、昔魔法覚えてねえ時にあそこの魔道具に世話になったんだっけか?」
「はい、回復魔法を覚えるまではあの魔道具店の魔道具で体の回復をしていましたから…あの魔道具店には恩があるんです。」
「あの頃は、町にお前が血だらけで帰ってきて、門番が毎回驚いてたよなww」
「はい…今さらですが、体の血を拭いてから町に入ればよかったのではと思ったんですが…」
「門番が驚く理由はそれだけじゃないと思うんだが…」
「…まあ、とりあえずあっちの瓦礫撤去してきますね」
「ああ、頼んだ。」
ロイスは瓦礫の撤去を始める。
「よいしょ…よいしょ…」
瓦礫はロイスの想定よりも少なく、撤去作業はすぐにおわった。
「ふう…次は…」
「はあ…はあ…重いぃぃ…もう…だめかも…」
一人瓦礫を運んでいた細身の青年が息を切らしながら瓦礫を運んでいる。
「ぐうぅぅ…重い…あっ!」
そんなとき、青年が足元に転がっていた石に躓く。
「あー…もう死んじゃう…」
青年が運んでいた瓦礫の下敷きになる瞬間、ロイスが咄嗟に青年を庇う。
「救済!」
ロイスの頭や背中に瓦礫がぶつかる。
「おい、ロイス!大丈夫か!」
ウェイドがそれに気付き、声をかけてきた。
「はい、平気ですよ。私が瓦礫くらいで死ぬと思いますか?」
「まあ、そうだよな…」
「あの…助けてくださってありがとうございます!」
「いえ、気にしないでください。救済は私の使命なので…」
「救済?」
「ああ、気にすんな。こいつはただの救済バカだ。」
「私はバカではないですよ。」
「そーゆー意味じゃなくてだな…」
「あの、もしよろしければ、名前をお聞きしてもいいですか?」
「はい。私はロイスといいます。よろしくお願いします。」
「はい、ロイスさん!こちらこそよろしくお願いします。」
「お前、次は気をつけてやれよ」
「はい…ウェイドさん。すみませんでした…」
「…とりあえず瓦礫撤去の続きをしましょうか。」
「はい、ロイスさん!お手伝いします!」
「とりあえず…あなたは私の手伝いの前に、自分の持ち場の瓦礫からやりましょうか。」
「…はい…そうします…」
ーーーーーー
ロイス達の瓦礫撤去は、日が落ち、暗くなり始めた頃にようやくおわった。
冒険者ギルドの職員が作業を手伝った者達に声をかけた。
「皆さん、協力してくださってありがとうございました。皆さんの協力のお陰で、1日で怪我人の治療と瓦礫の撤去がおわりました。とりあえず、今日からは仮説テントを設置いたしますので、町の復興が終わるまではそのテントで寝泊まりをしてください。ご不便をおかけして申し訳ありません。」
「いえ、大丈夫ですよ。」
「ねえ、ロイス君。私と同じテントに…」
「お断りしますね」
「おいロイス、とりあえず今日はもう寝るか…って、その女性は?」
「ん?私はロイスの…」
「ただ怪我人の治療の時に少し話しただけですよ。じゃあ、ウェイドさん。行きましょうか…」
「あ、ああ…いいのか?なんか話してたんじゃ…」
「いえ、もう話しはおわったので」
「はあ…じゃあ、ロイス君。また明日ね!」
「はい、ではまた明日。」
ロイス達は明日の復興作業に向けて、早めに就寝した。一人を除いて…
「ロイスさん。僕に向かって微笑みかけてくれた…ああ、ロイスさんロイスさんロイスさんロイスさん…ああっ…!」
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