ダーク・サイバー帰路
@Nagasemao112
第1話 インターネットに住む、1人の少年
──インターネット。
それは現代社会において必要必須な物で、これが無ければ何も出来ないかもしれない程便利すぎるものだ。
分からない事があれば検索すればいい。
友達が欲しかったら気軽に話せれる。
一緒に遊ぶ人がいないのならオンラインゲーム。
なんでも出来る、出来ないことなどない、現代社会が産んだ “もうひとつの世界”
──それが、インターネット。
そんな世界に住む、1人の少年、ギルの話。
ーーーー
「いやぁ今日も疲れた、でも、チャンピオン入りできた! 成長したなぁ僕……」
いつものeスポーツ大会の帰り。 多分行くのはこれで8回目だ。
そして、 今日は見事優勝を果たしたのだ! あと8人の所でやられそうになったけれど、チームの人の援助で何とか優勝まで辿り着けた。
援助があってこその優勝なのは忘れてはいけないけれど、最初の頃なんて70人で死んでいた僕が、残り8人まで登り詰めたんだ。 ここまで来たら1人で優勝も夢では無いかもしれない……!
僕がこんなにもこだわる理由は、僕の父にある。
パパは世界でも有数の銃使いで、昔はあのダークウェブでさえも活躍していたという。そんな背中を追い掛けここまで来た。
そして、僕の夢はそんなパパに追いつく事だ。 いつかパパと肩を並べてみたい、その一心で、毎日大会に出向いている。
そんな僕が、今日初めて優勝まで辿り着けたんだ。 夢に確実に近づいている!
「よし! いつかパパを越してみせる!」
空に向かって、希望を抱いて力強く宣言した。 いつかだけれど、絶対に越してみせる!
そう思うと本当に出来そうな気がして、るんるんな気分で家への帰り道を辿る。
ーーーー
ここは、インターネットの中の世界。
つまり、その住民のギル達にとって、私達にとってのリアルの世界という事だ。
ギル達が住んでいるところはサーフェイスウェブ。
比較的安全で、SNSや通販のようなサイトが広がっている。
そして、ディープウェブ。
検索エンジンに引っ掛からないような危険なサイトが多く、ログインなど、技術的な事をしない限り、そこへ入る事はできない。
ダークウェブ。
1度入ったらもう戻れやしない。違法薬物や臓器、子供等売っていたり、個人情報なんかダダ漏れな危険の度を越している。
その存在は表上に広まっていて、近づこうとする物はほとんど居ない。好奇心旺盛な奴らを覗いて…
マリアナウェブ…。
存在してるかどうかもあやふやな、この世界の1番深い所。
そこには…。
ーーーー
「ただいまぁ〜!」
「…」
「あ!今日、大会で優勝したんだ!」
「…」
「へへ、絶対パパを越してやるんだ!」
「…」
「うん!じゃ、ご飯出来たら呼んでね!」
いつも通り、お母さんと会話してからいつもより早めに自分の部屋へ駆け上がる。 何故いつもより早く自分の部屋へ行くかと言ったら、今日こそは僕の家の秘密部屋、地下室へ行こうと思っているからだ。 ずっと昔に絶対に入るなと言われてから、気になってもすぐに忘れようとしていた、 だって……
秘密の部屋こと地下室は、なんと……
あのダークウェブに繋がっているからだ。
ずっと前から思っていた。ダークウェブに行ってみたいと……
地下室が繋がっていると知ったのは、つい最近だ。 従兄弟のメルリから聞いた話だった。 そう聞いた瞬間、好奇心には勝てず、約束なんて破って入ろうと思い立ち地下室へ向かったのだけれど、案の定鍵がかかっていた。
だけど、今回は違う! なんと鍵を手に入れてきたのだ。
パパとママの寝室を根こそぎ探していたら、棚に入っていた。 まるでブランドのような箱にしまっていた。ホコリも被っていた所からもう何年も地下室へ行っていないのだろう。鍵をこっそりと抜き出した時は罪悪感で身体中がいっぱいだった。
そして、ついにこの日が来た。
ようやく行ける、ずっと憧れていた場所。 パパが昔活躍していた場所。
ダークウェブに行ったら前より強くなるかもしれない。 確証はないがそう感じてしまう。
好奇心と期待を胸に抱いて、自分の部屋から扉を勢いよく開けて、廊下に飛び出し階段の横に繋がる地下室への扉の前に立つ。
どんな世界が広がっているのかな。もしかしたら、見た事もない、想像を絶する光景が広がっているのかもしれない。名前にダークって付いてある程だ。 そう考えれば考えるほど楽しみになってきてしまう。
ドアノブの鍵穴に鍵を差し込み、ゆっくりと向きを変える。
期待を胸に膨らませ、固唾を飲み、ドアノブに手を置き力を入れ押す。 その先には ───
第1話「始まり」──完──
ダーク・サイバー帰路 @Nagasemao112
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