第6話

ここまで長々と語ってきたけど、何が言いたいかと言うと自分はおかしくなってしまったのだ。こんな支離滅裂なことを言っているんだから、ふと、あの案内人がぼくのもとに現れた。

「あなたの望む『普通』を教えましょうか?」

……教えてください。そうやって答えたら、彼は説明してくれた。

ぼくは普通の生活を送りたいと望んでいるが、それをすると、どうも上手くいかないらしい。だから「普通の生活をすればいい」と言われたが、それが無理なら、「非常識なことばかりするのをやめて常識的なことだけやれ」と言われるし。

そして最後に言われた一言。それは「それは本当にしたいことなのか」だった……あぁもう面倒だ。とにかく、自分がこれからやろうと思っていることは、きっと正しいと思う。なぜならそれは「ぼく自身がやりたくてやる行為であって、誰のためでもない。ぼくだけのために存在する。」ので「ぼくは自分がやりたいと思ったらやる。それだけ。それ以外の理由など存在しない。」のだから、これはぼくの意思だ。

でも……やめることもできるよ。「いやまぁやめないんだけどね。うん、決めた、やらない。いや別にやらないとは言ってないし……」……「でも、それが正しいってわかっててもできないときもあるんだよな~」とかなんとか言っちゃったからさ。結局その言葉に従うことになったのだ……。ははっ、何言ってんだコイツ(自分)。まぁ、とりあえず頑張るかぁ……

「お前は何が好きなんじゃ?」と聞かれた。だから、僕は答えられなかった。だって、わからないもの。

好きじゃないのかと言われれば、多分違う。じゃなきゃ毎日ここに来るわけがない。ただ何が好きかわかんねぇーんだよ! 何しろ興味がねぇ! だからこう答えるしかない。僕が一番よく知っていることを、答えにするしかなかった。僕の好きなものを。

「ぼくは何でも好きだ」

……とっても変で、とってもつまらない答えだと自分でも思う。それでも、誰かに何かを聞いてもらうというのは良い事だと思うし、それを聞くことで自分の中にあるモヤっとしたものの正体をつかめるかもしれないと思ったんだ。でもね。

結局、わからぬままだ。そう思った時も、そう思った。結局わかったことなんて、ほとんど無かった。まぁでもさ、それがわからなかったことがわかればいいか。だってさ……だってね……わからないことの方が多かったってことなんだから…… 結局ね……ぼくはどうなりたいんだろ……? どうしたらいいんだろ……? こうなったのが運命だっていうならさ…… やっぱりそうなのかな……? うぅん……でもな……それはなんか違うと思うな……うん……やっぱ違う気がする…… でも、なろう……なろうと決めたじゃないか。それに、ぼくはこれで幸せだと思ってる。うん、これで満足してる。……でも、もっとうまくやりたかったとも思っちゃうのだよなぁ…… ぼくはここに来てよかったと思っているよ。そして……ここに来られたのがとても嬉しい。こんな感情になったのは初めてだしね。うん……本当に感謝してるよ……でも、なんだけど、もう少しなんとかできなかったのかなとは今でも思うのだよ。でもこれはきっと贅沢な悩みなのだろうなぁ。いらない心配をしてるんだなって最近気が付いた。それで良かったのだ。ふっ……そうだよね。ありがとう 君のおかげです。

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