流れ星にお願いを③

「あ……! あのね、あの! わたしがお願いしたのって……」

「もう少しだけ、ここにいようか」


 言葉を遮るように

 ぼくは口を挟んだ


「え……、でも、早く戻らないと?」

「じゃあ、悪いけどきみだけ先にそうしてくれる?」


 その言葉にきみは

 遠まわしな拒絶を感じたのか

 肩を落とす

 華奢な身体がますます小さくなったようだ


「ごめん、ごめん、そんな意味じゃないんだ」


 ぼくは慌てて言い訳をした


「ぼくもね、流れ星にお願いしたいことができたから」


 そう言ってきみの手にそっと手を重ねる


「え……、それって?」

「たぶん、きみと同じ願いだと思う。だから……」


 満天の星空の下

 きみの瞳にも

 キラキラと輝く光が


「星にしたお願いは、ぼくが先に言うからね」


 流星がすぅっと流れていった


 了

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モノローグ TiLA @TiLA_k

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