ACT.29 最終話『さよなら、万理架。アルテミスをかっ飛ばせ!!』

無数の雨粒が窓ガラスを打ち付けていた。

彩聖の部屋の砂時計が一刻一刻と時を刻む。彩聖にとって残酷な時間。


自室のベットの上で、天井を見つめる彩聖。

「最後まで、私は空港に行かないと決めたんだ。だって、行ったら辛くなるのがわかっていたから」

「私..」


「万理架ちゃん..」



しかし、自分の気持ちに正直にありたいと思った彩聖。意を決した。

最後にお別れが言いたいと決めた彩聖。体が動く。

だが、万理架が搭乗機の離陸まで間に合いそうにない。


「今会わないと、二度と会えない!」

「アルテミスなら..」

「間に合わない。でも行く!」

「アルテミスをかっ飛ばして、国際空港へと向かおう」


「行くよ。アルテミス!」と右手にはめたブレスレットに通話する


「ready !」

と同時にエンジンが掛かり、フロントラントが照らされたアルテミス1号機。


高速道路に渋滞する車を上から踏んづけながら走行するアルテミス。こうでもしないと間に合わない。


何とか離陸時間丁度に空港に着いた彩聖。

空港敷地内に無断侵入し、万理架が乗っているであろう飛行機に手を振る。


「はっ、彩聖とアルテミス!」

それに気づく万理架。

涙ぐむ


機内から、彩聖に手を振る万理架

「彩聖。本当にありがとう」

「あなたの分まで大きく成長するわ」



彩聖は、万理架の乗った飛行が自身の視界から消えるまで、手を振りづづけた。

彩聖の笑顔と想いが、万理架の心まで届いた一瞬だった。




雨は雪に変わり、彩聖の体を優しく包んでいた。

「はぁ、はぁ」

「万理架..」


その瞬間、アルテミスの消音管が、熱く熱く揺れていた..。




ACT.29 『さよなら、万理架。アルテミスをかっ飛ばせ‼』終

機動警察レヴルージュ 完


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『掌編小説集・起動警察LEVROUGE(レヴルージュ)~気ままにパトロールダイアリー~』 2環乃ことり  @yukino_suzuki

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