第54話 せい夜

「「メリークリスマース!!」」


 クラッカーが一斉に鳴る。


「ねぇ、雪花お兄さん。食べていい?」

「うん、いいよ」


 大きな七面鳥を前に、絵里ちゃんが待ちきれないといった感だ。


「むふふ、やっぱり雪花お兄さんの料理、さいこう」

「良かった、喜んでもらえて」


 絵里ちゃんが美味しそうに食べてくれるだけで作った甲斐というものがある。


「美穂さんはどうですか?」

「美味しいわ、いつもありがとね。雪花君」

「いえいえ」


 美穂さんも喜んでくれて良かった。


 三人で食事をした後、絵里ちゃんと二人で作ったケーキを美穂さんに食べてもらったり、プレゼント交換などをしたりして……


「あ、もうちょっとまって。着替えてくるから」

「期待していてね?」


 二人がリビングから出ていく。


 …………何となくだけれど、想像がつく。


 ゴクリと、生唾を飲み込む。


 数十分してから、リビングの扉が開く。


「おまたせ、雪花君」

「雪花お兄さん」


 二人が、サンタのコスプレをしてリビングに現れる。


 絵里ちゃんは、おへそと肩が見えていて全体的に布の面積が狭い、えっちなコスチュームで、美穂さんは逆に、布の面積は大きいが胸元が谷間を意識させるものとなっていてどこか色気を感じさせる。


「綺麗で、可愛いです。絵里ちゃん、美穂さん」

「むふふ、良かった」


 二人は、満足げに頷いて僕の方へ。


「雪花君も、コスプレしよっか?」

「僕もですか?」

「うん。ほら、これつけて」


 僕にはトナカイの角のカチューシャを頭に着ける。


「可愛い。雪花君」

「食べちゃいたいくらい」

「可愛くなんて……ないですから」


 そんな僕の反応を見て、益々興奮したように耳元でこう囁く。


「私、プレゼント欲しいなぁ」

「私も欲しいよ」

「さっき、プレゼント交換しましたよね?」


 なんとなく、うすうす気づいていた。

 

 この二人が何をしようとしているかも。ご飯を食べ終わってから段々と二人が色っぽい視線を送られていたことに気づいていたから。


「雪花君から、直接、貰いたいなぁ」


 そう言って、僕の下の方を弄ってくる。


「まだ、お皿の片づけとか終わってないし」

「明日、やりましょ?クリスマスを目一杯愉しまなきゃ、ね?」


 二人の囁き声に耳がぞくぞくして、こくこくと頷いてしまう。


「じゃ、プレゼントもらうためにいこっか?」


 二人に連れられて、ベッドルームへ。

 

 クリスマスは長かった。


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 お久しぶりです、kanikuiです。


溺愛物の「ビッチで有名なギャルを助けたら、初心でヤンデレで逃げられない」を出しますので、良ければ読んでいただけると幸いです。

 

 この作品のafterももう少しで終わりそうですが、新作ともどもこれからもよろしくお願いします。

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我儘な彼女と別れ、美人な母親と娘を救ったら溺愛されたんだが かにくい @kanikui

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