宇宙進出の内情
結騎 了
#365日ショートショート 113
ディオム星人の口からぬるっと手が伸びた。その手はハンバーガーを掴み、喉奥まで戻っていく。
「うん、やっぱりこのハンバーガーというものは美味しいな。最近すっかりハマっていてね。偶然見かけてから、あの星に行く度に買って帰るんだ」
一方、頭が2mもあるイレギュラ星人はスマートフォンをいじっている。
「知ってるか、これ。スマホって言うんだと。うちの言語に改造して使っているが、これがなかなかよく出来ている。宣伝にも金をかけているらしく、地球の大都市でこいつを見ない日はないよ」
宇宙の彼方、どこかのテラス。異星人たちは暇を持て余していた。
ハンバーガーをたいらげ、ディオム星人はふと思い出したように問う。
「そういえば……。地球の宇宙進出ってどうなったんだ。お前たちイレギュラ星人は、あの星を監視していただろう?」
「ああ、そのことか」
テーブルにスマートフォンを置き、イレギュラ星人はにやりと笑った。
「あれな、一時期は勢いがあったんだが……。もう駄目だと思うよ。放っておけばそのうち終わるだろう」
「ほう、それはまたどうして」
「資金難だよ。あの星の国々は、もうどこも駄目なんじゃないかな。宇宙開発には膨大な金がかかるから」
やれやれ、といった様子のイレギュラ星人は、スマートフォンを再び起動した。保存してある画像を開き、ディオム星人に見せる。
「ほら、見てみろよ」
「これは酷いな」
「だろ? 去年打ち上がった地球の宇宙ロケット。どこもかしこもべたべたと、企業の広告だらけさ」
宇宙進出の内情 結騎 了 @slinky_dog_s11
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