必要なのは、きっと君だけの言葉

あまりにも完璧すぎて鳥肌が立ちました。
朝読書の最中、お互いが呼んでいた本の台詞をなぞることでやり取りをする。ここまでコンテストのテーマにそった見事なアイディアが他にあったでしょうか?

彼が読むのは異世界無双のファンタジー。
私が読むのは恋愛小説。
どこかチグハグで奇妙な会話。
だけどそれが初々しくて眩しいほどに美しいのです。

本歌取り。
あるいはネット上で行われる漫画の語録を用いた会話。
日本にはこのような文化が昔から根付いていました。
でも、それを互いの顔が見える教室でやるのはまったく新しい試みです。

自分の言葉は拙くとも、恋愛小説の文句はきっと相手の心をときめかせるハズなのだから……。でもやがて彼らは気付くのです。小説の文句は作中の主人公専用に用意されたものであって、彼等に代弁してもらうのには限界があると。
そう、本当に必要なのは彼ら自身の言葉だったのです。

小説は教科書でありお手本。そして、そこから始まる自分の物語。
全ての小説はこうでありたいものです。
完璧な恋愛小説をお求めの貴方へ、これこそが正にそれでしょう。
模範であり、理想の顕現。お見事!