十九世紀のイギリス、ロンドンを舞台としたハードボイルドな作品。
あっという間に読者を引き込む、シンプルでありつつも奥の深い世界観。
ミステリー要素に派手なアクション、そして人物たちのユーモア溢れるやり取り。
小説であり、映画でもある。
一話を読んだ時点で、そんな風に思いました。心地よいテンポで話を進めながらも、小説としての形や雰囲気は崩さない。こうした点は本当に脱帽ものでした。
作風は全体を通して硬派なように思いますが、読者層を狭めない程度の硬さに仕上がっており、普段こういった作品に馴染みのない方でも気楽に読める作品だと思います。腰を据えて挑むというよりも、ちょっとした息抜きや寝る前の読書としても親しみやすい作品ですね。もちろん、がっつりと読み込むのもアリです。
オカルトなテーマの醸し出すホラーな雰囲気の中に盛り込まれた、様々な興味深い要素。
まさにエンタメ小説の鑑。面白さの割に過小評価されているようにも感じる作品ですが、読了後には満足すること間違いなしの一作です。少しでも気になった方は、是非読んでみてください。
インターネット投稿に、転生系や令嬢モノがあふれている中で、いわば30年ほど前に読んだような、骨太のある小説を読ませて頂いたのは本当に久しぶりでした!
(もちろん褒めています!)
読み応えのある文章力は、魅力溢れる物の一つです!
舞台も懐かしのアメリカとイギリス!
今の流行りにあえて骨太作品を書かれている作者様へ、これこそ小説の醍醐味ですね♡と、言わせていただきます!
悪魔退治専門の捜査官ルービヴィク。
彼が、親しい天使の殺害現場に居合わせたために事件の真相を追うストーリー。
スコットランドヤードを名乗るヘンリーも加わり地獄の門の、鍵?をもとめ、イギリスへ…!
是非とも一人でも多くの方に、手にとっては頂きたい、読み応え十分の作品です!
期待も込めて、序章(7話読了時点)での評価を。
19世紀後半。知己の天使の死を目の当たりにした知る人ぞ知る米国のエクソシストが、彼女の遺言をもとに単身渡航。
途中、そりの合わない相棒とも出逢いながら、目指すはロンドン。背後には、人々の日常の裏で冷戦状態にあった天使と悪魔の戦争が関わっていて…。
この作品の魅力はなんといっても硬派な文体で描かれた、洋画のような世界観。
読み進めていくうちに薄暗いアメリカの貧民用の安アパート、あるいは蒸気を上げる船、教会など、馴染みのない私にも、ホラーらしくどこか“闇”のあるそれぞれの場面が思い浮かびます。
主人公と相棒の皮肉り合いも海外映画を見ているよう。比喩として使用される言葉・題材も海外の風が感じられ、作者様が旅でもして、直接見てきたのかなと思えるほど、どこまでも世界観に没頭できました。個人的には主人公の仕事道具について語る際に使われた「企業秘密」という言葉が現実臭く、一気に世界観に引き込まれたところですね。
ホラーとしてはゾッとする、というよりはジワジワと蝕む系のものですね。エクソシスト、天使と悪魔という題材も、クトゥルフ神話を嗜む私にとっては馴染みやすく、本作の世界観がお気に入りなのもそのせいでしょう。
列車の行き着く先。霧に煙るロンドンで主人公が“彼女”の残した言葉の真相を、胡散臭い相棒とどのように突き止めるのか。天使と悪魔の戦争の行方、ひいては世界の行方はどうなるのか。
日本にはない“外”を感じながら楽しむホラー。今後に期待せざるを得ません。