第16話 イメチェン

今日は久々の琴美さんとの昼食。しかし肝心の琴美さんはどこかご機嫌斜めだった。


「どうしたんですか、琴美さん?」

「最近どうもクラスの男子たちが遊びに誘ってくるのよね。みんな私が日鐘と付き合ってるるのを知って尚、アプローチしてくるのよ。しかもその大半の思考が性欲ばかり。ほんと、イライラするわ」


何度聞いても思うが、人の心を読めるというのは色々と苦労しそうだ。特に琴美さんのような美少女は、いろんな意味で目立つのでマジで大変そう。


「ふふっ。美少女だなんて嬉しいこと言ってくれるじゃない」

「声に出してないんだけどなあ」

「今回は読めたけれど、日鐘って本当に不思議よね。いろいろ人間として変わっているけれど、思考が読めない時がたまにあるんだもの。思考が途切れるというのは死んだ時以外ありえないはずなんだけれど、まぁ別にいいわ。だって日鐘は私に嘘なんてつかないもの」


うわぁお。随分ベタ褒めしてくれるじゃないか琴美さん。超嬉しいよ。

けど、思考は死んだ時以外は読める、か。


「そりゃそうだわな……」

「?何か言ったかしら?」

「いえ何も。ただの独り言だよ。気にしないで」

「そう。なら別にいいわ。けど…」

「ふぎゅっ⁉︎」


琴美さんは僕の頬を両手で挟み、グッとかおをちかづけた。


「もし何か悩んでいるのなら私に相談しなさい。いいわね?」

「…ふぁい」


え?え?というかこの状況何?普通逆じゃない?やっべ、今の僕絶対顔赤いって。

イケメンすぎかよ、琴美さん。



時間が経過して放課後。琴美さんと帰る約束をしていたのだが、急遽委員会活動の予定が入ったので、図書室で時間を潰すことにした。

…のだが、僕は図書室に入った瞬間、衝撃を受けた。


「……え?」

「あ、王z…じゃなくて隷園君。こんにちは」


にこりと笑顔で挨拶する葉隠さん。その姿は最近まで僕が知っていた葉隠さんとは似ても似つかなかった。

何だか、葉隠さんの背景に花が見えてしまった。そう錯覚してしまうほど、今の葉隠さんは神々しかった。


「えーと、こんにちは葉隠さん。髪、切ったんだね」

「………」

「あの、葉隠さん?」

「………」


……え?無視っすか?葉隠さんがジーッと僕を見ている。例えるなら、何か期待しているようなそんな感じのやつ。

……もしかして、


「羽美、さん?」

「はい!何ですか、隷園君!」


ぱああぁぁっと、笑顔が咲いたようになって返事をする羽美さん。

可愛いなこんちくしょう。


「前髪、切ったんだね」

「そうなんです!その、似合ってますか?」


え?何なのこの生き物?少し見ない間に変わりすぎじゃない?

前髪切っただけで、こうも仕草がこんなに可愛く見えるもんなんの。

これが羽美さんマジックか!!


「滅茶苦茶似合ってるよ羽美さん。それだけ可愛くなったなら、クラスで何か言われなかった?」

「……」


言ってから後悔した。僕マジで馬鹿すぎないか⁉︎

成長というのを知らんのか、この脳みそは!!!


「クスクス。別に気にしてませんよ。……そもそも王子以外に褒められても微塵も嬉しくないっての」


後半の方は小さくてよく聞き取れなかったが、大丈夫っぽい。よかったぁ。


「それで隷園君は今日、また何か借りに来たんですか?」

「いや、今日は時間潰しかな。人を待ってるんだ」

「…へえ。そうなんですね。ちなみにその方は女性ですか?」

「?そうだけど、どうかしたの?」

「あ、いえ。隷園君の友達ってどんな人なのかなと少し興味がありまして」

「ははっ、まあ友達っていうより、そもそも彼女なんだけどね。」

「は?」


ビュオオォォォォォォォ


な、何だ!?急に図書室が冷え出したぞ。ふと、横を見ると羽美さんから冷たい風が吹いていた。

それと羽美さんの瞳が、どこかどす黒く濁っているような…?


「彼女ってもしかしてあの銀髪のロングヘアの人ですか?」

「うん。多分その人で合ってる。五十嵐さんっていうんだけど、葉隠さんと同じクラスなんだ」

「へえ。そうなんですね。」


何だろう?別に低い声とかではないのに葉隠さんに軽い恐怖を感じてしまう。一見ニコニコした笑顔のはずなのに、その笑顔から底冷えしてしまうほどの冷気を感じる。


「ねえ、隷園君」

「はい。何でしょう羽美さん」

「えい❤️」

「むぐっ!?」


突然、隣の羽美さんに思い切り抱きしめられた。推定3桁を超える爆乳に包まれ、ムチムチとした柔らかさと同時に窒息しそうになる。


「もがっ、もぐぐっ…」

「あん//くすぐったいですよ。動かないでください」


ぎゅううううう


抱きしめる力がまた一段と強くなる。そして僕の顔はさらに深く埋まっていき、快楽に溺れかけていた。


(すごく甘い香りがする。それに超柔けぇ。いかん、これ以上刺激されると息子が……!)


「体は正直ですよ隷園君❤️」

「う“」


片手で僕の下半身を優しく撫でる羽美さん。そのままそっと僕の耳に色っぽい息がかかる。

駄目だ。頭が働かない。脳が焼き切れるようだ。


「ねぇ隷園君。このまま私に乗り換えてみない?気持ち良い事、たくさんシよ?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

奴隷、やってます 漣頼(旧:斧田ミン) @harukura

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ