第2話 いつもありがとう

LINEのトークルームというのは消さない限り消えることはないし、日付が変わればメッセージの上に表示されるので、トークルームを振り返るとその人との思い出が出てくるものだ。今回はそんな思い出などない2人の兄妹を見ていこう。

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(2015年8月5日)

「誕生日おめでとう!」

「今日で18歳だね、一人暮らし大変だろうけど頑張れ!」


「はーい」


(2016年8月5日)

「誕生日おめでとう!」

                 「ん」


       (2017年8月5日)

「ハッピーバースデイ!」既読


       (2018年8月5日)

「誕生日おめでとう!」既読


うーん実にそっけない妹である。それでも兄は毎年誕生日を祝っていると言うのに。

この2人は最初からこうなわけではない、妹が一人暮らしを始めたことをきっかけにLINEの頻度は減り、兄ということもあり、返信が雑になってしまったのだ。ほんの少しの溝が時間をかけて広がっていき、今更素直にはなるのは難しくなってしまった。

だが、妹も流石に思うところはあり、なんとか日頃の感謝を伝えるべくLINEと向き合っている。

今年の誕生日はどうなることやら。


       (2019年8月5日)

「誕生日おめでとう!」既読


全く、素直じゃない。22歳にもなろうというのに感謝の一つも伝えられないとは。



(LINE♪)


        (8月6日)

    (メッセージの送信を取り消しました)


「どした?」


         「別に、間違えただけ」

           「今度ご飯奢って」--------------------

取り消してしまうとは


あぁ本当に、素直じゃない

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