概要
ついに入会した。このサロンを知り、入会するまで、実に二ヶ月を要した。
男には極度の先延ばし癖があった。夏休みの宿題は二学期に手を付けるのが当たり前。大学受験にいたっては願書の郵送を先延ばしし、気づいたら浪人生となっていた。会社に勤めてからも、とにかくスケジュールの管理ができない。多くの仕事をつい先延ばしにしてしまい、上司や客に数回ほど急かされてからやっと手を付けていた。「割となんとかなる」、それが男の口癖だった。確かに目の前の事象はなんとかなっていたが、その度に周囲からの社会的信用をみるみる失っていることに、男も心のどこかで気づいていた。
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